第25話 グリン森林①
次の日、シリウス達はグリン森林の入り口に到着した。
そして、勇者一行とカーン兄弟、シリウスと『天使の羽』とに別れて行動を開始した。
勇者一行は入り口から向って右に歩いて、シリウス達は左に向って歩いて行く。
ちなみにカーン兄弟とシリウスには通信魔道具を持って行動している。
それは、異常が発生した時にお互いの位置を教えて直ぐに発生した場所に向う事になっていたのだ。
約1時間経過した時、勇者一行にカーン兄弟がオーガの軍勢を確認した。
『見つけた。オーガの軍勢だ。数は......約20体程だ』
「少ないな。此れなら俺が直ぐに倒してやるぜ」
そう粋がるカズヤだが、カーン兄弟は周りを見渡しながら考えていた。
「おい。オーガを倒すぞ! 早く来い!」
『ちょっと待って。おかしい.....』
「何がおかしいのだ? 行くぞ!」
カーン兄弟の静止を振り切りカズヤ達はオーガに攻撃を仕掛けた。
「そりゃあ! 「雷神剣」!」
カズヤの得意技がオーガ達を薙ぎ払って行く。
「ヒルダ! 支援魔法を頼む!」
「分かったわ」
「俺とアレックスが突っ込むのでアイリス。魔法で支援攻撃頼む!」
「了解!」
「あのバカ勇者。連携も出来んのか」
「まあ。そう言う言い方はダメですよ?」
グリッドとアレックスはカズヤに続いてオーガに攻撃を仕掛ける。
アイリスは前衛の二人の援護の魔法を使い、ヒルダは支援魔法とこまめに回復魔法をかけて行った。
そして、オーガ約20体はカズヤ達によって全滅させたのであった。
「どうだ。俺の力は」
『勇者殿。何で俺らの指示が聴こえなかったのだ?』
「たぶん。魔物の軍勢って、この程度の数だろう? 問題ないさ。あはははは」
「まあ。この辺りは終わったな。」
『『........』』
カズヤ達の言葉にカーン兄弟は沈黙していた。
するとヒルダはカーン兄弟に問い詰めていた。
「私達の実力は本物でしょう? まあバカ勇者は聖剣で振り回していただけどね?」
「なんだと! ヒルダ!」
「ヒルダ。それを言っても無駄。バカだから」
「おいアイリス! てめえ」
「二人供。ちょっと待って。カーン兄弟、どうした?」
『お前らバカか.....。囲まれてやがる......』
『兄貴。あいつらの作戦に嵌められたみたいだな?』
カーン兄弟の話を聞いたグリッドが問い詰める。
「何が囲まれているのだ? 教えろカーン兄弟」
『さっきのオーガの軍勢は....偵察隊だ。今探知して分かった。此処から100メートル以内にオーガの軍勢に俺達は囲まれている....その数2000だ』
『だから、俺達の話を聞けって言うんだ!』
「なんだと!」
『しかも....もっと増えているわ.....5000.....6000...兄貴!』
『ヤバイな。これ.....』
「ねえ。逃げましょう。この数じゃあ。全滅するわ」
アイリスが青ざめた顔で答えるとカズヤは我が物顔で吠えていた。
「こんなの、俺の聖剣ビクトリアでなぎ倒してやる!」
『お前な....最低でも6000だぞ! しかもまだ増えている。どういう事だ』
『それはですね.....貴方達の為に用意したのですよ?』
『誰だ!』
カズヤ達の前に黒いローブの男がいつの間に立っていた。
『初めまして、勇者様。私は「魔物使いゲドン」と申します』
『『ゲドン!』』
『そこの2人は私を知っているのですね?』
『ああ。ある人から聞いたからな?』
「お前がこの軍勢のボスか?」
『そうですよ? どうします?』
「お前を倒したら、この軍勢は消えるはずだ! 俺の聖剣ビクトリアで切り刻んでやる!」
『おお。怖い.....ですが。貴方には無理です』
「なんだと!」
カズヤは怒りの声を出したが、ゲドンはニコニコと笑顔で笑っていた。
『だって....貴方はそこにいる人の中で一番よ・わ・いですから!』
「じゃあ。俺の本気を見せてやる! ユニークスキル『限界突破』!」
カズヤの身体が光輝いた。
『なるほどね....。私と戦うと言うのなら、今から一体オーガを出すのでそれを倒して下さい。勝てたら私が相手しますよ? 勝てたらね?』
ゲドンは一体のオーガを呼びだした。
「その言葉。絶対に嘘を付くなよ!」
『分かっていますって....』
『おい。止めとけ....あのオーガ.....多分だが』
「うるさい! 行くぞ!」
カズヤはビクトリアでオーガに攻撃を仕掛けた。
カズヤの攻撃をオーガはさらりを躱して、左拳でカズヤの腹に叩き込んだ。
カズヤは後ろに飛ばされ倒れた。
『どうしたのですか?』
「くそお!」
カズヤは起き上ってオーガに向い斬り込むが、オーガは聖剣ビクトリアを右手で受け止めた。
「よし! 「雷神剣」!」
ビクトリアから雷が出てオーガの身体に命中した....かに見えたが....
「なぜだ! ピンピンしている!」
その後継を見ていた残りの勇者一行はグリッドが指示を出したのである。
「カズヤの援護に入る! 行くぞ!」
「「「「了解!」」」」
勇者一行は、グリッドとアレックスがオーガに向って切り込み、ヒルダは前衛に支援魔法をかける。
そして、アイリスは魔法の準備をしていた。
「みんな! 準備が出来たわ!」
「分かった! カズヤ! アレックス! 下がれ! アイリスの魔法がこっちに命中してしまう!」
カズヤとアレックスとグリッドは後ろに下がるとアイリスが魔法を放つ。
「いけえええ! 爆裂魔法「インフエルノ・ボム」!」
アイリスが放った魔法がオーガに命中した。
ぎゃああああああ!
悲鳴を上げながらオーガの身体は粉々になって消えていったのであった。
『中々やりますね....』
「どうだ! これで後はお前だ!」
カズヤは雄たけびながら言うとカーン兄弟は逃げる準備をしていた。
『勇者さん。俺達は此処で撤退するわ。一応原因の為の調査なのでな』
「どう言う事だ?」
『あんたさ.....この状況分かっているの? 今のオーガはな.....』
『やっぱり気づいていたのですね?』
『ああ。あのオーガの大群だとこの辺りの冒険者と騎士団総出でも勝てないからな?』
「それってどう言う意味だ?」
『意味通りだって。あのオーガは....シルバーキング・オーガだ...それも8000』
「「「「なんだと!」」」」
カズヤ以外の全員が青ざめる。
「それぐらい俺が倒してやる!」
「グレッグ。逃げよう。シルバーキング・オーガなんて私達全員で1体倒すのが精一杯だよ?」
「そうだな。此処は逃げよう! 全員退避!」
『ダメに決まっているじゃありませんか。でも勇者一行じゃない貴方達は逃がしてあげますよ? だって....報告しないと行けませんので』
『『ありがとうよ』』
カーン兄弟は転移魔導具を使ってその場から消えて行った。
『さて、貴方達、勇者一行はこの場に死んでもらいます。本当は勇者カズヤを人柱にしたいのですが.....戦いを見てその資格がないとわかりましたので....残念です。それじゃあ、シルバーキング・オーガ達、遊んであげて下さい!』
シルバーキング・オーガの軍勢が勇者一行に向って襲って来た。
「逃げろ! ぎゃあああああ!」
「止めて........」
「来ないでよ! いやあああああ!」
「俺の腕があああああ!」
カズヤ以外のメンバーはシルバーキング・オーガ達になぶり殺された。
「まだまだ。俺は負けない! 「雷神剣」!」
カズヤは必死に対抗して行ったのだが.....ついにビクトリアが折れてしまい、
「ぎゃああああ!」
大きな悲鳴を上げてカズヤは死んだのであった。
『弱いですね.....。あの二人の冒険者達は私の事を知っていたのですね? しかも、見た所バラン帝国の有名なカーン兄弟だと思いますね....そうなると『神速剣』はバランに居るみたいですな.....。』
ゲドンが一人事を言っていると後ろから黒いオーブの人影が出て来た。
『おい。ゲドン』
『これはバラクーダ様』
『こいつら以外のもう一つ調査しているぞ?』
『それなら、別のオーガ達がいますので、シルバーキングではありませんが、あの魔力程度の人間達なら普通のオーガで十分なはずです』
『取り合えずお前が確認して行け。どうやら『人柱』がいるみたいだ。ハミルトンの娘が』
『なんと! そうでしたら、私が直々に行きます。それではバラクーダ様。此れにて失礼します』
ゲドンはバラクーダにそう言いながら消えて行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます