第24話 再会
次の日、シリウスはアンデルセンの冒険者ギルドのギルドマスター室にいた。
『それで、シーちゃん。』
「だから、シーちゃんと言うな! この変態マスター!」
『まあまあ。いつもながら仲が良いわね?』
「誰が仲が良いんだ! アイリーンさん!」
『そろそろ全員が来る頃だけど.....』
アイリーンがそう答えると部屋に入って来た女性4人。
「「「「こんにちは! アイリーンさん!」」」」
『来たわね。ソフイ。メイ。リンダ。そしてライナ。』
そして、次に入って来たのは.......男性3人と女性2人のパーティ。
『おう。来たやったぞ。ギルドマスター』
「よく来たな。勇者カズヤ=ミコシバとその仲間達さん」
全員が揃った所でバロムから全員を紹介する。
『では、此処に集まってくれた事に感謝する。先ずはバラン帝国から来た勇者様一行とカレディアの王都から来たAランク冒険者パーティの『天使の羽』の一行』
「初めまして勇者カズヤ=ミコシバと言う.....そちらの女性達が『天使の羽』でしたか。中々の美人ぞろいだが、奥にいる可愛い女性の名前は.....是非教えて欲しい!」
カズヤがライナに一目惚れして話かけて来たのだが、ライナは真顔で淡々と答えた。
「私はライナと言います。勇者様」
「そのライナさん。俺と付き合ってれ! 良い事しようぜ」
「嫌です」
「赤くなっているぞ?」
「赤くなっていませんって!」
「隣良いかな?」
カズヤがライナの隣に行こうとした時、1人の男性がカズヤに言った。
「おい。バカ勇者。そこのライナさんに失礼だろう」
「バカ勇者って言うな! お前こそ誰.......お前は!」
「ああ.....久しぶりだな。バカ勇者。お前の「魅了眼」は此処では効果がないからな? 以前に言ったはずだ「俺の所にいるとどうなるのか分かっているよな?」ってな」
「分かったよ.....くそ。お前が「探索者」だったのか.....」
カズヤは自分の席に戻って行った。
「初めまして「天使の羽」の皆さん。俺が「探索者」として参加するシリウス=ロックバークと言う。よろしく頼む。」
「私は『天使の羽』のリーダーでメイと言いますわ」
「私はリンダで隣のデカイのがソフイ」
「誰がデカいって! 私はソフイ。隣にいるのが」
「ライナと言います。シリウスさん」
ライナが答えるとシリウスは笑顔で答えた。
「よろしくライナさん」
(隠蔽しているけど、間違いなくあのレイナなんだ.....綺麗になったもんだ)
そう思ったシリウスであった。
『あのう.....。話を進めて良いかな?』
バロムは依頼の内容を説明して行くのであった。
『今回の依頼は私バロム=ロクサーヌからの指名依頼です。此処から南にある『リオン森林』で魔物の増殖が起きている。数は最低でも1000以上。今も増えていると私は思っている。其処で此処に集まったメンバーで調査をして欲しい。私は集まったメンバー達を二つに別れて調べてもらいます。一つはそこのシリウスと『天使の羽』の部隊。もう一つは『勇者』一行ともう一つのパーティで部隊で組んでもらう。意義はないかな?』
「私達「勇者」一行と「天使の羽」とのパーティで十分だろう? そこの探索者は一人で良いのではないか?」
『いやあ。其処はダメなんだよ? 貴方の悪癖があるので女性パーティとは組ませないのよねえ....それと『勇者』一行と組むパーティと言うよりコンビの方が良いかもね.....そら来た』
バロムが答えてから部屋に入って来た男性2人組がシリウスを見て驚く。
『おう。バロム。来てやったぞ! ってなんでこいつがいるんだ!』
「お前か....久しぶりだな.....グレックとバトリー」
『久しぶりじゃん。シリウス。元気で居たか?』
「相変わらずだな?」
『紹介しよう。この二人はグレック=カーンとバトリー=カーンと言って冒険者仲間の間では『カーン兄弟』と言った方が分かるはずだ』
バロムがカーン兄弟を紹介するとライナ達「天使の羽」の全員が驚いた。
「「「「カーン兄弟って。Sランクの「カーン兄弟」!」」」」
『誰だ? それって?』
顔を傾ける勇者カズヤ達一行。
するとバロムはカズヤ達に説明を入れた。
「勇者カズヤよ。このカーン兄弟は、この世界中にいる20名ほどしかいないSランク冒険の中で「探索者」として一番の冒険者であります。だから、勇者一行には一番である同行者を連れて行かせます。良いですよね? もしも、断ったら貴方達は勇者としての活動が出来なくなると思って下さいね?」
バロムの考えは勇者一行にSランク冒険者を探索係に、天使の羽達にはシリウスを探索係にして勇者の女漁りを防ごうとしていたのだ。
しかも、断ればこの先勇者として活動出来なくなる様に鎖国しているベルハイト帝国以外の国々と協議して決めた事をカズヤ達に言ったのだ。
『俺は「勇者」だぞ! なんで従わなければいけないんだ!』
「これは鎖国しているベルハイト以外の国達からの決断です。もちろん、貴方が活動拠点しているバラン帝国の国王も了承済ですぞ? それでも参加をしないのなら、一般市民としての扱いになると思って下さい。」
『なら、ベルハイトに行ったら良い訳だ。俺はベルハイトに行くとするか』
「どうぞ。ベルハイトに行ってもいいですよ? しかし、どうやって行くのですか?
貴方の為に用意する船はありませんよ? まあ密航者として捕まるしかありませんなあ」
バロムはカズヤにニヤリと笑いながら答えた。
そして.....カズヤは
『もしも、参加したのなら問題ないって事だな?』
「はい。その通りになりますね」
『なら。参加する』
「ありがとうございます。それでは参加する全員にはこの用紙にサインをお願いします」
バロムは全員に持ってきた用紙にサインをさせた。
「これで依頼の説明は終わります。活動開始は明日の朝、アンデルセンの街の入り口に集合とします。各自に馬車を用意しますのでそれで乗って目的地に向かって下さい」
バロムの説明が終わると勇者一行と『天使の羽』達は部屋から出て行った。
残ったのはバロムとアイリーンとシリウスとカーン兄弟のみになった。
「これで勇者の『魅了眼』は使えなくしたわ。」
「バロム。どういう事だ?」
「それはね....全員にサインさせた用紙を見てくれない?」
アイリーンは用紙をシリウス達に見せた。
するとカズヤだけの用紙の内容が変わったのであった。
「おい。此れって.....あのバカ勇者対策であったのか?」
「それもあるけど、勇者とその仲間相手も同じ様に内容が変わっているのだ。シリウスとカーン兄弟と『天使の羽』達にはただの用紙だけどね。」
「まさか.....特に勇者には『魅了眼』を封印する効果がある制約書になっているとはね。びっくりしたわ。これも『天使の羽』達を守る事が出来るはず」
「それで、シリウス。俺達にはあの勇者一行が森林で逃げようとするのなら殺してでも良いとなっているのだ。これも各国の願いでもある」
「あいつらが真面目にすると思わないが......」
「ああ。勇者を始め、仲間はバランでは犯罪者扱いになっている。まあ言い換えれば、あいつらは囮だ。お前の方は『天使の羽』を守って、あの魔物を率いるボスを倒すのが第一目標だ」
「それでお前達は?」
「勇者一行の監視と『天使の羽』の警護も兼ねている。魔物軍勢が多数ならお前しか相手に出来んからな?」
「まあ。そう言う事で頼むぞ「ワイルド・ウルフ」さん。」
「分かったよ。それとバロム」
「なあに?」
「ライナは......あのレイナで良いのだな?」
「そうだよ? ライナ=フォスターはレイナ=ハミルトンであるよ? シーちゃん。いや、セシルちゃんと言った方が良いかしら?」
「その名前は捨てた名前だ」
「分かったわ。じゃあ、頑張ってね」
そう言ってその場にいたシリウスとカーン兄弟は部屋を後にしたのであった。
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