第22話 2つの指名依頼

ライナ達はギルドマスター室の前に着き、扉を叩いた。


『ギルドマスター。『天使の羽』のメイと仲間です。入っても良いでしょうか?』


「どうぞ」

ライナ達は中に入ると其処にはライナ達が知っている人が座っていた。


『え? ロクサーヌさん?』


「あははは。びっくりした? つい最近、此処のギルドマスターになったのだよ」


『そうでしたですね? 前のギルドマスターは?』


「アンデルセンのギルドマスターに転勤した。前任のギルドマスターはアンデルセンの副ギルドマスターに格下げだがね?」


『元ギルドマスターって人は何をやらかしたのですが?』


「何もやらかしてはいないぞ? あいつは現ギルドマスターの妻だから、格下げしても気にしてないさ。逆に「あの人の管理が出来て嬉しい」って言ってたぐらいだ」

ロクサーヌはそう言いながら変な顔していた。


『王都の元ギルドマスターって結構色々あるのですか?』

ロクサーヌの表情を見てメイが尋ねると


「まあね.....色々ある人だからね.....兄グロムは.....」


『『『『ロクサーヌさんのお兄さん?』』』』』

天使の羽のメンバーは驚きを隠せなかった。


「お前達に言いたい事があるのじゃが? 私をロクサーヌって言うのは止めてくれないか? ロクサーヌは家名でシスティーヌ=ロクサーヌが正式の名前だ。だからシスティで良い」


『『『『分かりました。システィさん』』』』


「さてここから本題だが、兄のグロムから応援を求めて来てのう。実はアンデルセンから南にある『リオン森林』に魔物が多数発生していると言うのだ。其処で実力のある冒険者をリオン森林に派遣して、大量発生しているのならそれを退治して欲しいと依頼が来て今カレディアの主要都市から何組かのパーティがアンデルセンに向っている最中だ。其処で王都からはAランクであるお前達「天使の羽」が行ってもらう事に決定した」


『魔物の大量発生ですか? 数はどれぐらいあるのですか?』


「3日前にリオン森林で魔物討伐をしていたCランクの冒険者だと、オーガが100匹以上いたみたいだ」


『オーガが100匹以上か.....Cランクならキツイだろうな......』


「私の予想では恐らく1000以上になっているはずだ」


『『『『え?』』』』

システィの発言でライナ達は驚いてシスティに聞いた。


『システィさん。それって』


「ああ。お前達の想像通りにミッドガルで起こった魔物の大量発生事件と良く似ているのでな....。実は言いにくい事がある」


『何でしょうか?』


「その魔物討伐にはバラン帝国の「勇者」パーティが参加するのだ。「勇者」であるカズヤ=ミコシバと言う。注意しろよ? 何せその勇者は「魅了眼」の持ち主だからな? それで対策としてこれを渡そう」

システィはライナ達に指輪を渡した。


『この指輪は?』


「これは私が作った特別の指輪でな。「魅了」の他、精神異常を無効にする指輪なのだ。これを付けていれば、あのバカ「勇者」に色々される事が防ぐと思う.......。

あの「勇者」は美女好きで自分が気になった相手に対して自分の物にしようとするロクでもない奴だからな? しかも彼奴には聖剣が使えるので更に達が悪い。バラン帝国側としては、カレディアに応援として行かせて喜んでいると思っているからなあ」


『『『『........』』』』

黙り込むライナ達。


「それと、ハイゼンからCランクの冒険者が「探索者」としてアンデルセンに行く事になった。そいつは兄上のお気に入りなので、もしも何かあればそいつを頼ったら良いわ。そいつは元々Aランク以上の実力があるのに何故か昇格をしない変わり者だからな.......」


『そうなのですね? その人の名前は?』


「シリウス=ロックバーグだ。灰色の髪で銀色の眼をした中々のイケメンだぞ?」

システィはシリウスの事を話すと天使の羽のメンバーは色々と言うのであった。


『イケメンで変人?』


『それってかなりヤバイ奴?』


『さっき言っていた勇者と似ているのかな?』


『勇者よりはマシかも』


「まあ。会ってみればわかる。今からアンデルセンに行ってもらう。王都の入り口にお前達専用の魔導馬車がある。それを使えば5時間で着くはずだ」


『初めてだわ。魔道馬車だって』


『私もそう思う』


「「天使の羽」達よ頼む」


『『『『はい!』』』』


ライナ達はギルドマスターの部屋を出たのであった。


ライナ達が出た後、システィは心の中で言うのであった。


(まさか....がこの国に居るのか.....レイナも会えば気が付くかな? しかし、嫌な予感がする.....レイナ達、気を付けろよ.....)


その後、ライナ達は魔導馬車に乗ってアンデルセンに向うのであった。



〇〇〇〇

ライア達が王都から出てアンデルセンに向っている頃、シリウスは転移魔法でアンデルセンに居たのであった。


(確か、ギルドマスターはアイリーンさんだよな? ギルドに行って確認でもするか)

シリウスはアンデルセンの冒険者ギルドに到着して中に入った。

そこで受付嬢に話を聞きに行った。


『いらっしゃい。まあシーちゃん。お久しぶり』

うさ耳の獣人の女性がシリウスに答えた。


「何がシーちゃんだ。それより、リンリン。ギルドマスターは居るのか?」


『いるわよ? それじゃあ。あの依頼を受けに来たのね?』


「ああ。」


『ギルドマスターからシーちゃんが来たら案内してって言ったから案内するわね?』


「言いや。俺一人で行くから。リンリン。後ろにいる冒険者の対応しろよ」


『はあ....分かった』

シリススはそう言ってギルドマスターの部屋に到着して扉を叩いた。


「アイリーンさん。シリウスだ」


『入っていいわよん』


(なんだ? 声が男の声だぞ?)


シリウスが中に入ると......そこには


「おい! 何で其処に座って居る! バロム!」


『まあ、シーちゃん。 元気?』


「何が元気だ! お前、王都のギルドマスターだろうが!」


『今は違うよん。此処のギルドマスターなのだ。王都の方はシスティに譲ったのよねえ.....』


「それで、アイリーンさんは?」


『私は此処よ。シリウス君.....『ワイルド・ウルフ』の方が良いのかしら?』


「アイリーンさん。ギルドマスターではなかったのですか?」


『今は此処で副ギルドマスターですわ。まあこの人が此処に来たので。だってこの人は私の旦那だもん』


「え? このバカの奥さん??」


『おい。バカって言うな! バカって!』


「それより、王都のギルドマスターは?」


『俺の妹のシスティだ。お前も知っているはずだが?』


「誰?」


『そう言えば知らなかったのね.....あんた! 何で言わないの!』

アイリーンはバロムに飛び蹴りを放った。


(やっぱり...この夫婦マジでヤバイ.....)

シリウスが思っているとアイリーンは直ぐに答えた。


『私の名前はアイリーン=ロクサーヌ。こいつはバロム=ロクサーヌ。そして王都にいるのが旦那の妹のシスティーヌ=ロクサーヌで、元ハミルトンのギルドマスターだよ? これでわかるかしら?』


システィーヌがハミルトンの元ギルドマスターであるのを知ったシリウスは二人に依頼の内容を聞いた。


「俺が呼んだ理由は、手紙に書いていた内容で良いのだな?」


『ああ。その通りだ。リオン森林での魔物多数発生の状況を調査して欲しい。しかも、同伴にはあのバラン帝国の勇者パーティと組む事になるのだが?』


「あの女漁りばっかしている奴か? 魔法国の勇者達の方がマシなはずだが?」


『そうなのだが....あのバカ勇者にはを持っているからなあ....』


「バロム。そのバカ勇者が持っているのはじゃなくてだぞ? 以前にあいつと会った時に俺の『鑑定』で見たから間違いないはず。それとあいつのレベルって20ぐらいだったはずだ.....まあ出会ってから3年経過しているのでどうなっているのかわからないけど」


『そうだな.....。それと王都からAランクの『天使の羽』が参加する。このパーティはカレディアでも3本の指に入るはず。だが...』


「だが?」


『『天使の羽』は女性4人パーティでな....あのバカ勇者が手を出すかもしれないのだ。だから、お前には『天使の羽』に『探索者』として加入して欲しい。』


「はあ......」


『まあ。そう言うなよ? 実はお前が言ったが関与している見たいなのだ。例のミッドガルの魔物使いがいると考えている』


「そうか。ハミルトン領以外で起きた魔物襲撃にそっくりだと考えているのだな?」


『ああ。だから早めに潰したいのだ。『ワイルド・ウルフ』としてな?』


「分かった。それで『天使の羽』は何時到着するのだ? それとバカ勇者は?」


『バカ勇者は3日前に到着している。いつもの女漁りをしているわ。『天使の羽』は明日に到着予定だ。到着したら顔出しするから準備をしてくれ』


「じゃあ。俺はこの辺で。明日の昼以降だな?」


『そうだ。お前専用の通信魔法具で連絡する』


「じゃあな。」

シリウスはそう言ってギルドマスターの部屋を後にして行ったのであった。

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