第18話 王都壊滅(後編)

メルビン国王とロベルトがベルン国王ドライセンと対話している最中、ロベルトの妻ヘンリエッタとリンダエッタはガイアス邸の食堂で話をしていた。


『お母様。あの水晶どうして無くなったのかしら?』


「分からないわ。今、メイド達に探してもらっているわ。もしも、見つからなかったら、あの子達にお仕置きしないとね?」


『そうですわ。お母様』

二人は楽しく会話していると、屋敷中が騒がしくなっているのに気が付いた。


「どうしたのかしら? そこの貴方。見て頂戴」


『はい。奥様』


メイドが食堂から出た途端、悲鳴が聞こえて何者かが食堂の中に入って来た。

それは.....キングオーガ達であった。


「なに?」


『なんなの? 私がこの国で一番強い魔法使いであるアンリエッタ=ガイアスです』


『ダレ? ソコノヨワイヤツ』


『見てなさい! 行くわよ! 『ファイア・ストーム』』

アリンエッタは炎魔法をキングオーガに放って命中した。

だがキングオーガは全く効いていなかった。


『タキビ?』


『私の魔法が焚火ですって! これも食らいなさい!』

アンリエッタは次々と魔法を放っていったのだが....キングオーガには効果がなかった。

そして、キングオーガ達は二人を囲み込み...


『たたすけ.....て......おかあさ....ま......ぎゃあああああ!』


「アンジェ.....ぎゃあああああ!」

キングオーガは二人の首を斧で斬り落とした。


『ヒトガイナイノカカクニン』

キングオーガ達は人がいないのか確認して食堂を出るのであった.....。



〇〇〇〇

城ではメルビン国王とロベルトがドライセンと話をしていた。


『メルビン国王。もうここには貴方達ぐらいしかいません。覚悟して下さい』


「なんだと」


『この魔物の軍勢は此処王都の他に主要都市に襲撃しているのです。ハミルトン領以外はね』


「それってどういうことだ?」


『それはハミルトン領はたった今、ミッドガルから独立したからなのですよ? そうですよね? ダグラス=ハミルトン侯爵』

ドライセンの隣から一人の男性が出て来た。


「ハミルトン侯爵.....」


『久しいですな? ガイアス侯爵。メルビン国王。私はドライセン国王と取引しまして、娘レイナの身の安全の代わりとハミルトンの住民の代わりにドライセン国王がいる組織『エデン』に忠誠を誓ったのです』


そう言ってダグラスは微笑みながら答えていたのであった。




2時間前、ドライセンはハミルトンの領主宅の中にある執務室に居た。


『貴方は誰なのか?』


『私の名前はベルン王国の国王ドライセンである。貴方の娘レイナ=ハミルトンを貰いに来た』


『レイナをどうしようとするのか?』


『貴方のお嬢様は我が主の復活する為の人柱になってもらいます』


『断ると言ったら?』


『このハミルトンの街が壊滅するでしょう。娘の命を取るのか。ハミルトンの領民の命を取るのかどっちですか?』


『両方断る! 娘のレイナはさっき盗賊団に襲われて行方不明になっているって報告を受けたばかりだ』


『そうでしたか....。残念です』


『だが、物は相談だか。私、ダグラス=ハミルトンをその貴方の主の復活する為の人柱になる。それでハミルトンの住民には手を出して欲しくない。頼む!』

ダグラスはドライセンに土下座をして頼み込んだ。


『さて。どうしましょうか』

ドライセンがそう答えると後ろから一人の男が出てきた。


『この男、僕が貰っていい? ナンバー15、ドライセン君』


『これは、ナンバー3の『博士』アレックス=ロギンス様』

それは元地球のイギリス部隊隊長であったアレックス=ロギンスであった。


『ハミルトン侯爵だったよね? 僕の実験に付き合ってくれたら貴方のお嬢さんとハミルトンの住民を助けますよ?』


『それでお願いする。アレックス殿』


『僕の事は『教授』と言って欲しいなあ。ドライセン君。このハミルトンはこのままで良いよ』


『分かりました。『教授』』


『それじゃあ。このを飲んでくれる?』

アレックスはダグラスに一つの錠剤を渡した。

それをダグラスは錠剤を含み、水を飲み込んた。


『わああああああああ!』

悲鳴を上げたダグラスはこのまま気を失った。


『『教授』様。あの薬は?』


『僕が開発した薬で魔族になる薬だよ? 後、ハミルトン侯爵にこの『隷属の腕輪』を装着させて欲しいよ。これで、ハミルトン侯爵は我々の配下になった。』


『そうでしたか。さすがです』


『ハミルトン侯爵が起きたら、城に向ってメルビン国王とバカな侯爵がいたならハミルトン侯爵に殺してと言ってね?』


『分かりました』

そう言ってアレックスは消え行くのであった。




『メルビン国王。それとガイアス侯爵。私の為に死んでくれ!』

ダグラスは持っていた剣を用意して二人に襲い掛かった。


『ハミルトン侯爵.........』


『ハミルトン殿.....ぎゃあああああ!』

二人はダグラスによって首を斬り落としたのであった。


『ドライセン様。終わりました』


『良くやりました。ハミルトン侯爵。それと『教授』から伝言があります』


『なんでしょうか?』


『この錠剤をハミルトンの領民全員に飲ませ、腕にはこの腕輪を付ける様に言われていますのでお願いします』


『分かりました』

そう言ってダグラスはドライセンから貰った錠剤が入った大量の箱と腕輪が入った大量の箱の荷物を貰いハミルトンに戻っていったのであった。


(『教授』はなんと言う恐ろしい実験をするのだ? 街一つを実験台にするとは.....これでこのミッドベルト連邦は我がエデンの支配下になる訳だ。そして来るべきの時が来たら、この世界は我がエデンの物になる。あはははははは!)


ドライセンはその場から消えて行くのであった。


その何年か先、レイナに取っては悲しい再会を迎えるとはこの時、誰も思ってもいなかったのである。


そして.....3年が経過したのであった。




~作者より~

次から第2章が始まります。

セシル(シリウス)とエデンの最初の戦いが始まります。

途中レイナ(ライナ)との出会いが....あるかもです。


読んで下さった方は、評価の☆を★にして下さい。

今後ともよろしくお願い致します。

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