蝉

第1話

夏だからこその寂しさがある

蝉が鳴いている

からいばりに鳴いている

一生懸命鳴いている

短い命を泣くよりも

一生懸命鳴いている

私は気持ちを新たにする

夏の太陽と蝉の共演

なんて　いさぎよいのだろう

なんて　はてんこうなのだろう

なんて　焦燥感を私に与えるのだろう

部屋でカレーを食べながら

蝉の鳴き声に私は動揺した

一生懸命生きねばいけない

一生懸命生きねばいけない

怠惰な自分はそれを感じた

でも

そう感じた自分は

本当はそう怠惰でもないのかな

そんな風にも思えてきた

そんなことにはお構い無しに

蝉は一生懸命鳴いている