第6話 休み時間2 【2】
あれが女子のかほりあれが女子のかほりあれが女子のかほり――あれが女子のかほりだとぉ⁉ そんな馬鹿なッ、俺のムスコとたいしてかわらなかったぞッ!
にわかには信じられない。だって、だって――女子のアソコはフローラルの香りがするって相場が決まってんだからッ!
それにだ、俺がここに来るまでいじっていたと言うのなら、どうして南沢の指は濡れていない? ぬちょぬちょやってたんなら指と指の間に糸の一つくらい引いててもおかしくないのに。というか引いててほしかった。
「ねぇ、私の、どうだった? できれば感想を聞かせてほしいのだけれど」
無言でいる俺に痺れを切らしたのか、南沢は体を密着させ、上目遣いで訊ねてきた。
「か、感想って言われても……」
目と鼻の先に彼女の瞳が。耐えかねた俺は顔を逸らし、ブツブツと返した。
「…………」
南沢が今どんな表情をしているかはわからないが、視線は嫌というほど感じる。つまらない男、とか思われてるかもしれない。
俺の予想は的中したのか、体の前面に感じていた南沢の体温が離れていった。
もうちょっと胸とか太ももの感触を味わっていたかったな。
惜しいことをしたなと歯噛みしつつ、俺は視線を戻す。彼女は二、三歩ほど後退していた。
「速水君……あなた私のこと疑っているでしょ?」
「……いや、別に」
俺が素っ気なく答えると、南沢は首を横に振って否定してきた。
「嘘。あなたはこれっぽっちも信じていない…………そうね、だったら」
独り言のように零した南沢はおもむろにスカートをまくり上げ――そして、
「〝直接〟嗅いでみる?」
純白のパンティーを
いいいい――いいんですかああああああああああああッ⁉
自分で言うのもなんだが、ここまでよく耐えてきたと思う。けどもうダメかもしれない……自制心という名のブレーキは、もはや壊れる寸前だ。
『いきなりですが今彼女の言う通りに従うと――ななななんと! 直接嗅ぐだけでなく先っちょだけ
『え、いいんでしょうか?』
『いいんですッ! ムムッ!』
そう背中を後押ししてくれたのは俺の中に巣食う楽〇カードマンだった…………な? ブレーキぶっ壊れかけもいいとこだろ?
「ねぇ……早くして?」
「む、無理だわよそんなの!」
焦りのあまり変な言葉遣いになってしまった。そんな俺を催促してきた南沢は不満な顔して見つめてくる。
「興味、ないの?」
「な……ないね」
俺は無邪気な子供の心のような色した下着を視界に入れないようにするが、
「嘘、ホントは興味あるくせに」
意識しないようにすればするほど
うぅ、くそッ! どうすればいんだどうすればいんだ――俺はどうしたいんだッ!
頭を抱えたくなるような状況を前に俺が何も言えずにいると、南沢は冷めた表情で溜息を漏らした。
「私、優柔不断な人は嫌いなの。だから5秒数える間にどうしたいかを決めて」
そして彼女は――中身の少ない砂時計をひっくり返した。
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