第4話 二時限目 2

 一時限目の時は始まって間もなくしないうちに仕掛けてきたが、今回は終了間際にきた。



 これが、焦らしプレイというものか……なるほど、クセになりそうだ。


 いやだがしかし、この状況はさっきよりも遥かにスリリングだ。皆の意識は既に授業ではなくあと少ししたら訪れる休み時間に向けられているはず。


 となれば、残り僅かを我慢できずにくっちゃべるヤツがでてきてもおかしくない。


 そうするとだ――暇だし駄弁ろ→振り返る→A〇の現場発見! となる恐れがでてくるわけで。


 けどま、周囲に目を配れるだけの余裕はある。万が一、誰かしらが振り返ったらその時は無理にでも南沢の手をどかす……名残惜しすぎるがどかすしかない。


 幸か不幸か南沢はズボンの上からソフトタッチしかしてこなかった。もちろん興奮はするのだが、それまで。処理してきたばかりの男相手をイカせるほどではない。故に生まれた余裕。


 また一段、大人の階段をのぼっちまったか……ふっ、童貞をあまりなめすぎないほうがいい。というかどうせなめるくらいなら――くわえてくれッ!


「………………」


 横目で南沢を見やると、彼女はどことなく悔しそうな顔して俺のアソコを睨んでいた。


 親でも殺されたの? ってくらいの圧なんだけど。そんなおっかない顔されるとさすがに縮こまっちゃ……いや、むしろ興奮するな。


 立場はすっかり逆転していた。南沢がリードしてるように思えるが違う、俺がリードさせているのだ。


 優位にっているのは俺の方だ。


 俺は南沢のソフトタッチを堪能しつつ、監視もおこたらないよう視線を前へと戻した。


 ん? もう終わりか?


 程なくして彼女の体温が俺の股間から離れた。


 俺の反応があまりにもつまらなかったのだろう……こればかりはしょうがない。


 顔を横にやると、射るような眼差しをまっすぐ俺に向ける南沢と目が合った。


 残念だったな……南沢。


 俺は彼女に勝者の笑みを見せつけてやった。


 さてさて、授業もあとちょいで終わるし気楽に――。


 壁時計に目を向け余裕にふんぞり返ってる時だった。再び俺のアソコに温もりがやってきた。


 いや違う……これはまさかッ――俺のそこまで踏み込んでくるつもりなのかッ⁉


 焦らすように、楽しむように、ゆっくりとゆっくりと……あろうことか南沢はズボンのチャックを下ろしてきたのだ。


 そして本体を3ピストンしたくらいで、彼女は不意に手を止めた。


 え……寸止め?


 今、目の前に鏡があったなら、そこには間抜けな顔した俺が映るはず。正直言うと、安堵感よりも拍子抜け感の方が大きかった。


 一体なぜ? 俺は答えを求めるよう南沢に顔を向けた。


 彼女は面白くなさそうな表情してある一点を見つめている。


 俺はその視線の先を目で追ってそして――合点がいった。


 そうか……授業、終わっちゃうのか。


 授業終了を告げるチャイムが鳴り響き、日直が「起立ッ!」と口にした。


 俺は慌ててチャックを上げ、皆にならって立ち上がった。


 すいません先生。今日の授業……まったく耳に入ってきませんでした。


 そして俺は謝罪の意を込め頭を下げた。

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