第259話 1足りない
という訳で、回復役である私も何かしらの攻撃手段を持っていた方が良いと思われる。
以前の私ならば、攻撃はバロンがいるから大丈夫、もしもの時でもアイギスに任せれば問題なし!と判断しただろう。
けれども、思い出してほしい。南に向かう際に、戦ったボスたちのことを。
ライオン詐欺師の時も磯巾着の時も私はバロンからもアイギスからも助けが期待できない状況に陥っていた。
まず、ライオン詐欺師はバロンよりも先に私を発見し、私めがけて突進してきた。
あの時の私はバロンからもアイギスからも離れさせられ、孤立した状態であった。
今思い出しても危機的状況だったなぁと思う。
それから、磯巾着戦。あの戦いでは直接攻撃されることはなかったけれども、それは木の近くにいたからだ。
もし、あの木がなかったら、それこそライオン詐欺師に会った時よりも危ない状況に陥ったであろう。
なんせ、頼りの綱のアイギスが度重なる音攻撃にやられていたからね。
そんな出来事を経験して私は考えを改めたのだ。やっぱり、回復役だって何かしらの攻撃手段を持っていた方が良いのだと。
選択肢が逃げるしかないよりも、攻撃して時間を稼ぐとか、攻撃して相手が怯んだ隙に逃げるとか、選択肢は一つでも多い方が安心できるだろう。
だからバロンの言うように攻撃に使えそうな魔法を新しく覚えるのも一つの手だと思う。
火魔法とか攻撃力が高そうだよね。
幸い、南のボス達との二戦とその後のバロンズブートキャンプによりレベルも一つ上がっている。
これなら新しいスキルも覚えられるだろう。思い立ったが吉日だ。
今ここで簡易安全地帯をつくって、ステータス確認がてら、新しいスキルを覚えてしまおう。
ルイーゼ Lv.12 巫女見習い
HP 100%
MP 16%
称号: ナビさんのお気に入り
猫の女王様
鴉と和解せよ
スキル: テイム
識別
応急手当
水魔法
医術
鼓舞
加持祈禱
精神分析
見鬼
ファンブリャー
候補(木魔法、火魔法…etc.)
スキルポイント:4
ステータス画面で確認しても、レベルが一つ上がってスキルポイントも増えている。このスキルポイントを使って、火魔法を取得しよう。
「あれ・・・・?」
『どうした?』
「とれない・・・・・」
取得可能スキル一覧を開き火魔法を選択しようとしたが、火魔法が選択不可となっているために取得できなかった。
見ればスキルポイントが1ポイント足りていない。スキルポイントが足りない!
ああ、あの時、ファンブリャーをとらなければ火魔法を習得出来たろうに。
おのれ、ファンブリャー、私を転ばせるだけでは飽き足らず、火魔法習得の邪魔までするとは・・・・!
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