第257話 刺激が癖になる


ただ、森に捧げる祈りの件にて、街の人々が温泉好きな理由を聞くことが出来た。


森を育み、森に育まれた湧き水に身を浸すことで森の力を身体に取り入れる儀式の名残こそが温泉に身を浸す理由らしい。


確かに温泉は湧くものだが森・・・?温泉に森は関係しているのだろうか。


温泉のお湯はお湯であって水ではないし、植物にお湯をかけるのはよろしくないだろう。


それに温泉のお湯はどちらかと言うと火山の影響の方が大きいと思うのだが、この世界では違うのだろうか。


まぁ、儀式が行われていたのは昔のことで、今はその名残として温泉に浸かっているらしいので、森と温泉にたいした関係がなくても良いのかもしれない。


セドネフさんも「昔は儀式の一環として温泉に浸かったらしいけど、今は皆、、暑い日差しの元、温かい温泉に浸かるあの刺激が癖になってしまっているらしいんだ。かく言う僕も好奇心で一度入ったら、やめられなくなってしまって・・・・・本当に癖になるんだよねぇ」と言っていた。


だから今街の人たちが温泉に入る理由に森の儀式はあまり関係ないのかもしれない。


うん?でも、それはそれで問題があるような?熱中症待ったなしで命知らずな行為も宗教的な儀式と言われれば、多少は納得できる。


しかし、結局、宗教は関係ないとなると・・・・・?


詳しく考えるのはよそう。ただ一つ心に決めたことは、私は絶対にこの国で温泉に入らないと言うことだ。私はあの集団に仲間入りしない。



とにかく、私はセドネフさんに教えてもらった不思議な祝詞と踊りによって、安全に野宿を決行できるようになったのだ。



『ほれ。いつまで休んでいるつもりじゃ。早く続きをせぬか』


「ハイ・・・・」



しかし、せっかく簡易安全地帯の作り方を覚えて、どこでも気軽に休憩がとれるようになったのに、バロンさんの許可がおりないので休めない。


スパルタ式だ。ここはいつからギリシアになったのか。それとも、バロンか。バロンの方がギリシア出身だったのだろうか。


そういえば、たしか、猫に変身する神様がギリシア神話に出てきたはず・・・・。



まぁ、冗談はさておき、そろそろ本気でこのスパルタ特訓を終わらせたい。


昨日の特訓から引き続き、朝から食事の時間を除いて休みなく水魔法を使い続けている。


おかげで、スキルのレベルが二つも上がったが、もう良いだろう。



「バロ~ン。水遊び飽きたよ~。水魔法のレベルも上がったし、もう終わりにしようよ~」


『・・・・上がった?・・では、何故、威力に変化がないのだ・・・・?』


それは私が聞きたい。



もともと水魔法は回復系のスキルと違い使用する機会も少なく、レベル上げをしたいとは思っていてもなかなか上手くいっていなかったスキルだ。


その水魔法がこのブートキャンプによって二つもレベルが上がった。


それは嬉しいことである。しかし、レベルが上がった前と後で変わったことといえば洋杯一杯の水の量が少し増えた程度である。


攻撃に使えそうな技も覚えられていない。一応、水魔法の新しい技は覚えたのだが、攻撃に使えそうなものではなかった。



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