第209話 大魔王の落とし物


今すぐに、持っているだけで痒みに襲われそうなブツを処分したいし、そのために冒険者ギルドへ急行したいとも思っている。


が、しかし、その前にボス戦の戦果も確認しておこう。ついでだ、ついで。


ボス素材を売るつもりはないが、ポーチの内容物を整理するためにもここで終わらせておいた方が良い。



まず第一の変態・・・じゃない、東の関門であったハンスが落としたのは「大人の大蛤」と「大人の猪鍋」と「大人の海苔」?


・・・おとなの蛤とか鍋ってどういうことだろう。少し苦いのかな。


味についての不安は残るが、食料が増えるのは嬉しい。と思ったら、大蛤は中身が入っていなかった。


本体なしの外身だけの状態だった。悲しい。何だこれは貝合わせでもしろと言うのか。貝殻の内側に落書きでもしてやろうか。



まぁ、いいや。ポーチの中で寝かせておこう。フォースさん達に装備の強化をお願いする時に使えるかもしれない。



ハンスは他にも食べられない物を落としている。


もっこの切れ端」と「大人の草履」だ。畚の方は蛤や猪鍋と同じように幾つかドロップしている。


装備などの素材に使えるアイテムのようだ。大人の草履の方は一つだけ。名前からしてフロストウォーカーのような装備アイテムだと思う。


フロストウォーカーから履き替える予定はないが、おとなの草履というのも気になる。


どんなのだろう。そんなに大人っぽい雰囲気の草履なのだろうか。


取り出そう試みたが、小屋の中では広さが足りないと言われてしまった。・・・草履なのに?



気を取り直して、大魔王の落とし物をチェック。


大魔王は食べられるものとして天狗の金平糖を落としている。


空色の透明な瓶の中に星を閉じ込めたようなきらきらと可愛らしい砂糖菓子が詰められていた金平糖だ。美味しそう。


ホラー的な演出の多かった東の大地であるが、食べ物を一杯くれたという点では評価しよう。


食べ物が貰えるとしても、当分行きたいとは思わないけれども。


と言うか、先程食べた飴が全然減らないのだけれども。本当に一里玉か、これ?



大魔王は食べられるものも落としていったが、食べられないものも沢山くれた。


まず、「天狗の腰掛け」。これは素材系のアイテムなようで取り出すと木材の形をしていた。松かな?杉かな?


木目を見ても職人ではないので分からない。しかし、場所的に杉っぽいな。



他にも素材として「天狗の嘴」「天狗の羽」を幾つか落としている。


それらもいつか使う時のためにポーチの片隅に入れておくことにする。





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