第208話 怪しげな薬


東の草原に出現するモンスターは4種。ウサギと虎さん狐とアイフル犬、それから石のモンスターだ。


それぞれ落とすものは、ウサギが「草原兎の肉」「草原兎の尻尾」、虎さん狐が「草原狐の赤飯」と「草原狐の包帯」だ。


おもちゃさんによると、これらとは別に、夜、憑依状態の狐を倒すと「草原狐の油揚」を落とすらしい。


東に出発する前にポーチに一つだけあった油揚げの謎は解けた。・・・あの時のかぁ。手放しといてよかった。



それから、アイフル犬が落とすのは「草原犬の爪」と「草原犬の根付」だ。


根付の方はお守りとして大変有用なので売らない。絶対に手放さない。


アイギスと共に身に着けた根付がきちんとそこに在ることを確認して頷き合う。



最後に石のドロップアイテムは、「草原石の欠片」と「草原石の飴」だ。


石の欠片は分かるけれども、飴はいったいどこから出てきたのだろう。


ちゃんと食べられるのだろうか。石の飴、日本一硬いと噂の一里玉みたいなかみ砕けない飴のような感じだろうか。


とりあえず口の中に入れてみた。味はちゃんと甘い。しかし、歯が砕けそうな硬さである。


この飴は噛まずに舐めた方が良さそうだ。



「バロンとアイギスも舐める?」


『いらん』



バロンには即答で断られた。


風車小屋の扉の前を行ったり来たり。視線は南側へと固定されている。ごめんね、もう少しだけ待ってね。



「・・・・・舐める」



アイギスへと視線を映せば、バロンを見たり、私を見たり、忙しなく顔を動かした後にか細い声でそう答えた。


心なしか困った顔をしている頭を撫でて、飴を渡す。


アイギスは少しの間、飴を見つめて、目を閉じ、勢いよく飴を口に入れた。


アイギスは口をもごもごさせて私の膝の上で丸くなる。



私はポーチの中身を確認する作業に戻った。


「草原石の飴」は非常食になるだろうから売らないことにして、東の林道で手に入れたアイテムの確認へ移ろう。


東の林道で出てくるモンスターは4種。ウサギとアイフル犬に加えて、タヌキと蚊が出てくる。


もしかしたら、気が付かなかっただけで他にもモンスターがいたかもしれないが、私たちが戦ってドロップ品を手に入れたのは4種だけである。


東の草原と被るウサギとアイフル犬は置いておいて、タヌキのドロップ品は、「林道狸の風呂敷」「林道狸の渦栗」「林道狸の団栗」だ。


蚊の方は蚊とついていないので分かりにくいが消去法的に「林道風の暦」がドロップアイテムだろう。


・・・・それから、もう一つ、「林道風の薬壺」もだろうなぁ。



『はやく南へ行かぬのか?』


「・・・・冒険者ギルドでアイテムを売ってからにしよう。ポーションも買わなくちゃ」



食料は東の探索が予定よりも早く終わったため、まだ余裕がある。


しかし、ポーションは買い足しが必要だ。何より、この薬壺を早く手放したい。


このままこの怪しげな薬を持って行動したくない。



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