第198話 渡航シーズン
「梅雨明け後ならば魔物の増勢期も過ぎており、比較的安全に旅ができます。
それでも、時々、春に増えたシュインバイレアイフに襲われる旅人がいるので今の時期に街を挙げて狩りを行うのです」
アイフル犬、生き物を見つけると足元にすりすりとすり寄って、転ばせた相手と目が合うと潤んだおめめで見つめてくる可愛い奴だと思っていたが、油断していると危ないらしい。
気がついたら仲間が一人ずつ減っていき、自分しかいなかったとかいう事態を引き起こすこともあるのだとか。
犯人がアイフル犬だとは目撃者がいないため分からないが、生き残りの証言ではアイフル犬の存在に言及するものが多く、
旅人消失事件にアイフル犬が何らかの形で関わっていると予想されていると言う。
「ルイーゼさんも参加しますか?橙黄色の物を身に着ければ誰でも参加可能ですよ」
「心惹かれる提案ですが・・・・予定があるので」
お祭りとか楽しそうだし、アイフル犬の抜け毛も気になるし、
なんなら抜け毛を集めて羊毛フェルトみたいにお人形を作りたい欲求も湧き上がってるけれど、これから南に向かわなきゃいけないので無理だ。
「そうですか・・・期間中は街中でも催し物をしているので少しでも時間があれば覗いてみるだけでも楽しめますよ」
「ありがとうございます」
南に行って帰ってきた時にまだやっているようだったら覗いてみよう。
心のTo Doリストに書き込んでおく。
「そういえば・・・・北と東に渡航シーズンがあるのなら、西や南にもそういった旅に適した季節があるんですか?」
これから南に行くことは決定しているけれども、知っておいて損はないだろうと渡航シーズンについて掘り下げて聞いてみる。
「渡航シーズンは年二回、一回目は梅雨明けから秋ごろまで、二回目は冬の初めから終わりまでの期間を渡航シーズンと呼びます。
西と南は二回目の季節に向かうのが最適だと言われていますね。特に南は冬の療養地として著名なので・・・」
「私たち・・これから南に行くんですけど・・・・・・」
「・・・・・それは・・また・・・・水分補給は忘れないように気を付けてください。・・・かなり暑いので」
どうやら、夏も近づくこの季節に南へ向かうのはかなり物好きな所業らしい。
止められはしなかったけれど、水分をしっかりとって、合間合間に日陰などで休憩するよう言い含められた。
でないと死ぬ危険性があるとか。現実でも毎年熱中症で亡くなる人が結構な人数いるらしいので気を付けよう。
このゲーム初の死亡が熱中症とか恥ずか死ぬ。死に戻った直後にまた死に戻ってしまう。
あれ?でも、その場合ってどこに戻るんだろう?同じ場所?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます