第4章 南の大国
第196話 帰還の挨拶
掲示板まとめ
・北方探索隊「なんの成果も得られませんでした!」
・東方探索隊「なんの(ry
・勇者はエクスカリバールを手に入れた!大剣用スキルが無用の長物となった!
・ヘビコパスさんは西でミステリーサークルを作り、犬の人は南でミステリーを憑くってきた。
・おもちゃさんへ「開けてはいけない箱」をプレゼント
葉桜の季節、春の花々が終わりを迎え、青々とした若葉が生命の力強さを訴えかけてくる季節である。
最近はすっかり過ごしやすい気候となり、卯月曇りの日でも肌寒さを感じなくなってきている。
現実ではこの頃になると、猫が恋しくなる。
朝夕の冷え込みを避けるために布団に潜り込んできていた猫がやって来なくなるからだ。
この時期は、猫にとっても過ごしやすい季節のようでお布団をかぶって一緒に寝てくれる回数も激減してしまう。
だから、今時分は起床時の猫との距離が悲しい季節でもある。
いや、今朝のバロンは何時もより遠いどころか顔のすぐ近くで「みなみみなみ」と鳴いていたけれども。
・・・圧が凄いのでやめてほしい。アイギスが恐怖のあまり寝具の下で震えていたじゃないか。
始まりの広場にて建物の赤と若葉の緑の強烈なコントラストに目を眩ませながらも広場に面した教会へ向かう。
丸い屋根の教会の前に見慣れた黒髪を見つけて頬が緩んだ。やはり胃痛国に帰ってきたのならばクロウさんに挨拶しないと落ち着かない。
黒髪の神父様に駆け寄ろうとして、その隣に寄り添うもう一つの黒の存在に首をかしげた。
黒い鳥、鴉だろうか。しかし、鴉と断定するには普通の鴉と何かが異なる。
教会までまだ距離があるためよく見えないが、その鳥は鴉とは決定的に何かが異なっていた。
けれど、鴉以外の何なのかと聞かれても他の何も候補として思い浮かばない。
あえて言うなら蟻?いや、鳥なのに蟻はおかしいだろう。羽蟻のような昆虫の羽を持っているようにも見えない。
「おや、ルイーゼさん。帰ってきていたのですね。おかえりなさい」
「クロウさん!ただいま戻りました」
私が教会の前に着くころには件の鳥は飛び立ってしまい、近くでその姿を確認することは叶わなかった。
クロウさんに帰還の挨拶をしながらも、無意識のうちに目が去っていく鳥を追ってしまう。
「私の相棒・・・レディです」
「レディちゃん・・・・・」
クロウさんの言い方からして、私にとってのバロンやアイギスのような存在だろうか。
だが、飛び去る後ろ姿を見送る視線には愛情だけではない、様々な感情が渦巻いているように見える。
愛情、哀愁、憎悪?懐旧、憧憬・・・相棒に向けるには複雑すぎる感情が見える気がする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます