第167話 アイギスころころ
なんて考えている間に目が目が攻撃を受けて苦しむ大魔王へバロンが二撃目を与えている。
鳩尾へ鋭い当て身。傾ぐ巨体を足場にして蹴り出し、その場から飛び退く。
足場にされた大魔王は強制的に九の字に折り曲げられ、地面に倒れた。
そこへ盗賊コンビが追撃をかける。少し遅れてお2さんも。
大魔王は立ち上がろうと地面でもがいている。
その手に握られた羽団扇が動きに合わせて振り回され、扇がれた空気がうねり風を生む。
四方八方に暴れる風が私たちを引き倒そうと襲いかかってくる。
「防御!」
目の前で膨らんで壁となってくれているアイギスへしがみつき、吹き飛ばされそうな身体を必死で踏ん張る。
暴風によってアイギスのもふもふな毛が一方向に押さえつけられている。
毛玉が毛玉以外の新種の生き物みたいになっている。
あれだ、車を洗う、あれ。ガソリンスタンドの洗車機に似てる。なんというかモップ?さらさらしていて縮れてないけど。
必死に踏ん張ってるのに珍妙なアイギスの姿に力が抜ける。やばい、飛ばされる。
『鴉は無様に地を這っておれ』
バロンさん、まじ女王様。
傲岸不遜に言い放ったバロンが大魔王の頭を踏みつけて、地べたに押さえ付ける。
仮面をつけた鴉の頭が地面にめり込んでいる。あれは痛い。
強制長座体前屈をさせられている大魔王の身体は柔らかいのだろうか。
私も寝る前に前屈するけど毎夜、膝の裏が痛いんだよね。毎日前屈しても毎日痛いの。突っ張り痛い。
大魔王も今、突っ張り痛いのかな。あれだけぎゅうぎゅう押さえつけられたら痛そうだな。膝が痛そう。
そんな痛そうな膝に追撃を加える者がいる。
え、おもちゃさん!?お父さんまで!?サルミアッキさんも!?
皆して痛そうな膝に集中攻撃を加えている。
「部位破壊は基本」
リーダーさん、つまりそれは皆大魔王の膝裏が大ピンチなのをわかっていて攻撃しているってことだろうか。
えげつない。チームの団結がえげつない方向に振り切れている。
大魔王は泣いても良い(二回目)。いや、本気で花粉症的な意味だけではなく。
皆の奮闘むなしく、大魔王的には命拾いして?(こちらにバロンがいる以上、早めに倒れた方が大魔王のためだとは思うけれど一応)、大魔王の膝関節は破壊されなかった。
大魔王が立ち上がる。バロンも再度転ばせようと頭部に攻撃を加えたが、今度は倒せなかった。
地味な嫌がらせを団結して行われた大魔王が反撃に撃ってでる。
扇がれる羽団扇、強風と共に炎が大蛇となって襲い掛かってくる。
しかも大蛇は一匹掛けではなく、片手の指ではたりぬほどの大蛇が私たちへ狙いを定めて飛びかかってきている。
「回避!」
暴風と闘っていたときのまま引っ付いていたアイギスの身体を掴み、その場を飛びのく。
少しうまくいかなくて前のめりにこけたが、炎は頭上を通過していき事なきを得た。
火の攻撃に弱いもふもふなアイギスも無事なのでヨシ。
アイギスのもっふもふな身体を掴もうとして身の部分を発見できず、転んだ拍子に押し出してしまい、アイギスころころ、転がって行ってしまったけど問題ない。
もっふもふなスキルを解除して一生懸命こちらに走ってくる姿は超絶可愛いから問題ない。
体力も減ってないしね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます