第162話 お父さんは驚きの白さ
「そ、それにしても、装備着けるのも平気なんてすごいよな、アイギスは」
そういえばアイギスを回収していないような・・・・・。
アイギスは今、おもちゃさんのところにいるのだろうか。
「首輪もいやっつう従魔も多いのに」
「・・・別に僕も装備嫌いだけど」
「そうなのか?」
普段は、バロンの人見知りに注目しがちだけれど、アイギスも結構な人見知りだ。
おもちゃさんのところにずっといると対人ストレスで禿げちゃうかもしれない。はやく回収してあげないと。
「嫌だけど、ルイーゼを護るために必要だから・・・・・貧弱な僕じゃ、装備(これ)がないとルイーゼを護れないから」
頭ではおもちゃさんの側に移動しようとしてるんだけどなー。
というか、おもちゃさんからアイギスを受け取る夢を見たんだけど、目を開けたら手の中が空っぽなのよ。
頭上に何時もの重みがない。
「ルイーゼのために不快だけど着けてるんだ」
「アイギス・・・・・!」
「ブッブッ、触るな!変なおじさん!」
「変おじ・・・・・・」
「乗りものは黙って運ぶ!」
「は、はい・・・・・」
なんかアイギスとおもちゃさんがイチャイチャしてる(ジェラッ)。何か仲よく話してる(ジェラジェラッ)。
アイギ——ス!私の頭空いてますけど————!?ルイーゼの
あ、だめだ、これ、まるで私の頭の中が空っぽみたいだ。私べつに馬鹿じゃないし。
水飲みに台所に行ってすり寄ってきた猫を撫でたら満足して水飲み忘れることはよくあるけど。
でも、あれは猫が可愛いすぎるのがいけないんだし。いつになくかわいい声で鳴いて寄ってくるから悪いんだし。
で、なんの話だっけ?だめだ、ねむくて頭がまわらない。ねむらないために必死にあたまを動かしているけれど、ぜんぜん働いてくれない。
それよりも、あしを動かすべきだろうか。みぎ、ひだり、みぎ、ひだり、みぎ、きそく的にあしを動かしているとねむけが倍増する。意識するとよけいに。
べつのことを考えよう。前をいくサルミアッキさんのローブのすその動きとか。
すそが長くてひきずってるからかな、端がほつれていて動くたびにほつれがひらひらする。
あのほつれ大きくなったりしないのかな。間違えて踏んづけちゃたりとか。
ほつれた糸がひらひら~ってたなびいてるのがちょー気になる。
というかずっと見ているとうずうずしてくるな。なんというか飛び付きたくなるかんじ?
・・・・いや、だめじゃん、それ。猫獣人だからって猫のようにひもを見ると飛び付きたくなる習性でもあるのかな。
危険物は見ないようにしないと。サルミアッキさんからは装身具をたくさん着けているため、きそく的に金属のこすれる音がして子守歌みたいでねむけが募る。
サルミアッキさんはだめだ。意識を無理矢理はがし、前方を歩くお父さんの尻尾を見つめる。
白いお父さんを見れば、目も覚めるかもしれない。
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