第149話 音楽の村?


「・・・・あほか!父親名乗るには種族ちゃうやろ!?」


なんだか混乱してきた私の思考を一刀両断するツッコミが入る。速報!お父さんは猫ではない!


つまり、お父さんは私のお父さんではなかったのだ。そうだよね、こんなところにパパがいるわけないもんね。



「お父さんは確か・・・・マヌルネコだっけ?」


「ユキヒョウだ!」


このゲーム、一口に獣人と言っても選べる種族は様々だ。猫科だけでも猫、豹、虎と三種類もある。


お父さんはその中でも豹を選択したらしい。白いふわふわの耳は確かに豹っぽい。毛先が黒いのは豹だからか。



ちなみにマヌルネコは山猫の一種で、猫ではない。種族選択の候補にも入っていないので、おもちゃさんの発言はおそらく冗談である。



「ちなみに、わいは虎やで!」


目が合ったお2さんに告げられる。うん。お2さんが虎の獣人なのは初対面で分かってた。


だって黒と黄色のツートンカラーの法被を着ているもの。



「趣味は野球観戦!応援しとるんは坂神や!」


それも知ってる。だって黒と黄色の法被を着てるもの。


全身で坂神ファンだって物語ってるから、一目見た瞬間から知ってたよ。



「残念ながら北におるんはドラゴーズで、奴さん超えても待ってるんはパリーグやけどな・・・・・」


それは知らない。中白とかパリーグとか何のことだろう。


分からないけれど、北と言う時点で深堀すると地雷を踏む可能性が高いので、話題をそらそう。おもちゃさんへアイコンタクト通信を送る。



「さ、さぁ!紹介も終わったことだし、俺たちもボス倒しに行こうぜ!」


電波を受信したおもちゃさんは一つ頷いて露骨な話題逸らしにうつってくれた。


ついでに後で他のメンバーにも北の特に猫の話題はまずいって知らせてもらえるとありがたいです。



「・・・・・そうだな、道中で連携とか確認しながら行くと時間かかるだろうし、早く出た方がいい」


おもちゃさんの不審な様子に何かを察したお父さんが賛同にまわってくれた。さすがお父さん。


・・・・ところで、結局、お父さんはお父さんで良いの?本人がお父さんと呼ぶように言っているのだから良いのかな。



次のボスのところへ向かうために、村を通り抜けながら東側へ進む。村の中は音楽の村と言う割に音楽の気配が全くしない。


すれ違う村人が歌を歌っている様子もなければ、何か楽器を持っている様子もない。


村のいたるところで、村に入る前にも見つけた謎の文字の羅列を見かけたけれど、それ以外に音楽に関係しそうなものは見当たらなかった。



「ルイーゼ、気をつけろよ。この村、村の中で歌を歌うと罰金がある」


「え!?はっ!?」


音楽の村なのに村の中で歌うと罰金とは、これ如何に。


いや、音楽の村ではなくて、音楽の学校が有名な村だっけか。でも、そんな規則があって学校の授業はどうやって行っているのか。



「楽器の演奏も禁止だぞ」


もはや言葉も出ない。本当にどうやって授業しているの。



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