第148話 私のお父さん?


「闇魔法とか、お前まだ使えないだろ」


「つーか、混沌の使者はおもちゃの方がふさわしいだろ」


「お前は失笑と厨二の使者で十分だよ」


総ツッコミである。


闇魔法が使えると聞いて私のリストには挙がっていないけれど、いつか使えるようになるのかなと期待したが、今はまだ発見されていないらしい。


闇魔法というか、闇魔術の使えそうな見た目だったのだが、残念だ。



サルミアッキさんの右手には木製のいかにもっといった感じの長杖が握られている。


それを見て思い出したけれど、私、せっかく買った水魔法に補正のある杖を装備していない。


いつの間にか、ポーチにしまったまま出し忘れていたようだ。思い返せば、片手がふさがっていると転びやすいからと砂浜を歩く途中でしまったような記憶がある。


まぁ、両手が開いていても転ぶときには転ぶのだけれども。・・・これを機に水魔法のレベル上げのためにも杖を使うように心がけよう。


村に入る前に襲ってきた蚊にだって、杖があればもう少し打撃を与えられたかもしれない。うん、きっとそうだ。



私が杖について考えている内にサルミアッキさんの呼び方に関する話もまとまったようだ。


やはり、混沌の使者はおもちゃさんのものらしく、サルミアッキさんは残った漆黒を名乗るそう。つまり彼のことは漆黒さんと呼べばよいようだ。



おもちゃさんは最後の一人の紹介へと移る。白い毛並みの猫科獣人さんだ。


パーティでの役割は盗賊だと聞いた気がする。おもちゃさんは勢いよく、猫科獣人さんを指さす。



「こいつは盗賊のお父さんだ!」


「誰がお父さんだ!?」


「お、お・・父・・さん・・・・・?」


キャラクターの見た目はそんなにおもちゃさんと変わらないように見えるのに、この人はお父さんらしい。


いや、本人は否定しているから違うのか。お父さんのように頼りがいのある人ということなのだろうか。



「・・・・・」


そう自分の中で答えを見つけたところで、お父さん?から再度の訂正が入る。


「そうだ!俺がお父さんだ!」


「ちょ、おま!えぇ——!?」



やっぱり、お父さんはお父さんらしい。誰のお父さんかは知らないけれど、お父さんはお父さんなのだ。


でも、リーダーさんは驚いている様子だし、お父さんではない?



「ルイーゼちゃんはお父さんでも、パパでも好きに呼んでくれ!」


「ブルータス!お前もか!?ちょっと!お父さん!?お前までそっちにまわったら誰がツッコミするの!?俺には捌ききれないよ!?」


「パトラッシュ、俺は疲れたよ・・・・・・」


「俺の名前はフ・ラ・ン!」



リーダーさんが全力で叫んでいる。うーむ。フランダースの犬だからパトラッシュなのかな。お父さん、お上手!


というか、お父さんの口ぶりからすると、お父さんは私のお父さんだった?


うん?ううーん?いや、でも、言われてみれば色合いが似ている。


耳の形が猫っぽくないから他の猫科を選択したのかと思ったけれど、こんな耳の形の猫もいたかもしれない。やっぱり、私のお父さん?



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