第147話 続おもちゃと愉快な仲間たち
「さぁ!さぁ!おにーちゃんって呼んでや!上目遣いに!少しはにかんで!」
「近い!セクハラ!ステイ!ホーム!」
私に詰め寄っていた御にーちゃん?さんの頭が勢いよく背後からすっぱ叩かれる。
「ちょおっ!リーダー!わては犬やないで!犬なんはリーダーやろ!」
「俺は狼だよ!・・・まったく、ごめんね。ルイーゼちゃん。これは
リーダーさんは手元の張り扇を手のひらで弾ませながら言う。
初対面の時から、ずっと気になっていたのだけれど、リーダーさんの武器は張り扇なのだろうか。
他の武器を持っている様子もなく、ずっと張り扇を握り締めていたので気になっていたのだ。
張り扇に殺傷力はなさそうだし、音でモンスターを威嚇して行動を阻害したりするのかな。
「よろしくお願いします。お
「よろしくやで!」
言われた通り、お2さんと呼んだけれど、お2さんもお2さん呼びで構わないようだ。鋭い牙をきらりと光らせて笑っている。
その背には幅広刃の大きな剣が背負われている。お2さんは紹介と違わず、剣士のようだ。
筋肉さんの背に装備された武器が斧にしか見えなかったので、お2さんも剣は使わない剣士かと思ったが此方はちゃんと剣士だった。
筋肉さんは筋肉が武器だとか言いそうだし、そもそも言葉を発さずに筋肉を美しく魅せるポージングを続けているので剣士と言う紹介で合っているのか疑問だ。
「よし!次!次は盾の・・・・・呑兵衛!」
「盾役のウォトカな。ちな、ウォトカは水な」
鍋を背負ったドワーフの人が即座に訂正する。その手には、酒瓶?正体不明の謎の瓶だけれど、名前からして酒瓶な気がする。
というか、中身がウォッカな気がする。お酒の。
「大体いつも酔ってるから、ルイーゼはあまり近づくなよ」
「ウォトカは水だからいくら飲んでも酔わないぞ」
おもちゃさんの忠告にもすかさず反論している。その言葉から本当にいつもお酒を飲んでいて酔っているんだなと推測される。
ちなみに、このゲームでは酩酊状態も状態異常の一つとして採用されている。ゲーム内飲酒の仕組みと注意事項が説明書に記載されていたので知っている。
「で、あの何か怪しい奴が厨二病のタイヤだ」
怪しい人と聞いて、視線が思わずフードを被った人物に向かってしまった。
おもちゃさんの指先も寸分たがわず、フードの人を指している。確か、初めの紹介では魔術師さんだと聞いた人だ。
魔術師のイメージに沿った真っ黒なローブで頭からつま先まで隠している。
「我は漆黒と混沌の使者・サルミアッキ!闇魔法を操る偉大なる魔術師である!」
ローブの裾をさばいて荒ぶる鷹のポーズ?をとるサルミアッキさん。
うん、サルミアッキなら間違いなく真っ黒だし、混沌だし、タイヤっぽくもある。
そして言動がおもちゃさんの紹介の通りだ。本人の自己申告、漆黒と混沌も間違いではない。
いつかに好奇心と空腹に負けて食べたサルミアッキは漆黒と混沌の味がした。納得した私とは対照的に、仲間内からの評価は異なるようだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます