第146話 おもちゃと愉快な仲間たち


「俺たちはついに七人になってしまった・・・・・しかし、悲しい事ばかりではない。追加メンバーを紹介する!」


おもちゃさんは芝居がかった動作で、両手でバーンと私たちを示す。



「次のボス討伐まで付き合ってくれる、幼女ルイーゼともふもふと神話生物だ!」


「幼女じゃないけど!?」


結局、話し合いの末に、このまま一緒にボス討伐へと向かうことになった。


決め手はバロンの勇み足。早く、早く、ボスをぼこぼこにしたいと、すっごく期待したきらきらした目で見られてしまったので、仕方ない。


夜は怖いけど、バロンもアイギスもいるし、おもちゃさんもお化けが出たらお化けが怖くなくなるポーズを取って励ましてくれるそうだから。


でも、紹介が不当だし、ちょっと信用して良いのか不安になってきたな。



「よし!こっちのメンバーも紹介するな!ゴールデンレトリバーっぽい狼獣人が俺たちのリーダーだ!リーダーって呼んでやってくれ!」


「ゴールデンレトリバーは犬だし、俺は狼だし、俺の名前はフランだよ!」


金に近い茶色、黄支子色の狼獣人の青年が吠える。確かに、青年は長毛で癖っ毛なところがゴールデンレトリバーに似ている。



「ああ、いや、リーダーでいいよ。よろしくルイーゼちゃん」


「ルイーゼで良いです。よろしくお願いします」


リーダーさんはこちらに向き直って挨拶してくれる。私はちゃんはいらないことを伝え、お辞儀した。


だって、ルイーゼちゃんだと何となく子供っぽいし。私は立派な大人だから。



「で、後は、剣士いち、剣士にー、盾、魔法使い、盗賊な」


おもちゃさんは順番に筋肉が凄い人、黄色と黒の猫科獣人さん、ドワーフの人、真っ黒なフードを深くかぶった怪しげな人、もう一人の猫科獣人さんを指さして言った。



「紹介が雑!」


「もっとちゃんと紹介しろ!」


おもちゃさんの雑な紹介には仲間からもブーイングの嵐なようだ。



「しょうがないな~。・・・剣士いち、筋肉。筋肉さんって呼んでやって」


え、その紹介で良いの?と思ったけれど、筋肉さんは筋肉さんで問題ないようで、紹介に合わせてすばらしい上腕二頭筋を見せつけてくれた。うーん、マッスル。



「剣士にー、まぁ、剣士にーさんでいいだろ。めんどいし」


おもちゃさん投げやり。おもちゃさんからの紹介は諦めて、剣士にーさんに直接聞くことにする。



「・・・剣士にーさんは剣士にーさんで良いんですか?」


「ええで!」


予想外に即答された。サムズアップ付きだ。



「・・・・・本当に剣士にーさんで良いんですか?」


「いいとも!」


剣士1,2あつかいはさすがに駄目だろうともう一度、念押しで聞いてみたが、またしても即答で肯定された。


人好きのしそうな笑顔で八重歯をチラ見せしながら頷いている。



「何ならにーさんでもええで!いや、いっそ、おにーちゃんって呼んどくれや!」


御にーちゃん?敬いたいのか、親しみたいのか、よくわからない呼び方だ。


あと、なんか勢いが強い。勢いに押されて固まっている内に、御にーちゃん?さんは私のすぐそばに来た。



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