第143話 米がなければパスタを食べれば良いじゃない?
「え?ルイーゼ、一緒にボス戦行かねぇの?」
バロンよりも先におもちゃさんが驚いたようにこちらを振り返った。
「うん、だって日暮れも近いし・・・・・」
『我がおるのだ。夜など恐るるに足りん!』
バロンが肉球で足元の花々をてしてししている。可愛い。
バロンならお化けでも幽霊でも余裕で退治できそうだけれども、バロンが討伐している最中に別のお化けが現れたらどうしよう。
バロンが他に気を取られている隙に私たちが襲われる可能性もある。
「人数多い方が安全で確実にボスを倒せると思うぞ」
『うむ。確かに(肉)盾は多い方が良い』
私の反応がいまいちなのを察したおもちゃさんが説得の言葉を重ねる。
バロンもその意見に賛成のようだ。しかし、気のせいかバロンの言葉に何か含みがあったような気がする。
「そのボスってハンスよりましなのかな?」
「え?」
悪夢の蚊三連星を見て思ったのだけれども、これから向かうボスがハンスに輪をかけたヤバいのである可能性も無きにしも非ず。
冷静に考えてみれば、ハンスを避けたらハンスよりもぶっ飛んだボスが待ち構えている可能性だってあるのだ。
だって、道中の敵があれなんだよ?その先にいるボスがまともな訳ないじゃないか。
ハンスなら知っている分、覚悟も決めやすい。もしかして、戻った方が心のダメージも少ないのではないかと思い始めている。
「・・・・・次のボスの場所は特定できてるけど、戦ってはないから姿は知らんだわ。でも、ハンスよりひどいのはそうそう思いつかんから大丈夫だと思うぞ?」
おもちゃさんの言うことも尤もだ。おっさんのゆるふわロリータなミニスカがエクソシスト決めてくるよりもひどい光景なんて思い浮かばない。
でも私、ハンスに出会うまでは、おっさんのゆるふわロリータなミニスカがエクソシストなんて考えたこともなければ、概念の存在すら認識してなかったよ?
「それにワンチャン東に日本があるんじゃないかって騒がれてるし・・・」
「日本?」
疑念を晴らすことができなかったおもちゃさんが別の説得材料を持ってきた。
猫に悪戦苦闘中の日本探索組は消去法で北にいると思ったのだけれども、東に日本とはどういうことだろうか。
日本探索組が東にいると言うことではないと思うけれども。
「そう。他の方角に日本がなかったから、残る東こそって・・・・・・・そしたら、米が食えるかもしれないぞ?」
お米かぁ。正直そこまで執着はない。米がなければパスタを食べれば良いじゃない?
いや、パスタじゃなくても、パンでも他の麺類でも良いんだけど。
他のゲームでもお米を探して三千里した人の話を聞いたことがあるけれど、そこまで食べたいものなのかな。
現実で食べられるのに。そもそも、私からすると、異世界転生ものでよく見るお米のためなら何でもする過激派も不思議な存在に感じられる。
お米のためにそこまで必死になる人の心が良く分からない。
「お米じゃないけど、赤飯なら持ってるし・・・・・」
趣味嗜好は人それぞれ。何に執着するのかもその人次第だし、あえて言及をするつもりはない。だから、別の言葉を返した。
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