第131話 フレンド登録
「・・・いや、まぁ、それよりも、場所を移動しないか?囲まれたら困るし」
「賛成です」
男性は変な人ではあるものの、悪い人ではないだろうしついて行っても問題ないだろう。悪い人なら初対面で突然号泣する人を根気強く慰めたりしない。
「おっし、行くか!えーと・・・」
おそらく村のある方向へと歩み出した男性が此方を振り返って言い淀む。そう言えば、アイギスとバロンの紹介はしたのに自己紹介をしていない。
「ルイーゼです。よろしくお願いします。・・・おもちゃさん」
「おう。よろしく。ルイーゼ」
にっと笑って応えてくれる男性——おもちゃさんはやっぱり悪い人じゃないと思う。
おもちゃさんは歩き出しながらこれから向かう村の説明をしてくれた。
私は遊びに夢中なバロンがちゃんとついてきているか気にしながらその説明に耳を傾けた。
おもちゃさん曰く、これから向かう村の名前はズィーボルトと言うらしい。
落ち着いた色合いの街並みで、運河の美しい村だと言う。また、村と言いきるには規模が大きく、学校のような施設も存在するらしい。
結構大きな学校で近隣の村からその学校に通うために旅をしてくるものもいるのだとか。
そんな大きな学校なので村の経済の中心となっており、村は学校を中心に発展を続けているそうだ。
「学校では詩歌や民謡、音楽関係のことが学べるらしいけど、俺たちの誰も条件を満たしてないみたいで入学できなかった」
条件かぁ。歌や音楽に関係するスキルなら鼓舞を持っているけれど、それで行けるだろうか。無理だろうな。
ズィーボルトの学校について今度クロウさんに聞いてみよう。入学の条件とか教えてもらえるかもしれない。
「クロウさんから有力な情報が得られたら連絡するよ」
「クロウさん?」
私の言葉におもちゃさんは首をかしげている。どうやらクロウさんに心あたりがないようだ。
「始まりの広場の、教会の前の、神父様」
「ああ、あのイケメン・・・・俺たちの敵だと思って話しかけなかったわ」
なんとクロウさんに話しかけることなく、冒険を続けていたらしい。
クロウさんに教えてもらわずに冒険者ギルドにたどり着くとは驚異の探知能力だ。
それとも他の人に聞いたのかな。というか街中に敵が出たら大騒ぎだろう。
「クロウさん、敵じゃないよ。優しいし、色々教えてくれるクロえもんだよ」
「へー、今度話しかけてみっかな」
おもちゃさんは一考の余地ありって感じの返事をくれる。
ちなみに話し合いの末、お互いに敬語はなしにしようと決まったので、敬語はやめた。その流れでフレンド登録も済ませている。
フレンドはパーティを組んだ時のように経験値の分配やアイテムの取得に恩恵があるわけではないが、フレンド登録をした者同士でメッセージを送れるようになる機能だ。
フレンドメッセージはメールのようなもので相手が同じフィールドにいなくても、ログイン自体していなくても送信が可能だ。
相手に会わなくても用件を伝えられるところが便利である。
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