第130話 ただただ変な人
どうしたら良いの、これ?え、これ、蚯蚓さんって呼ぶべき?おもちゃさんって呼ぶべき?
何がどうしてそんなあだ名がついたの?どうしてこの人はこんな誇らしげな顔で玩具って名乗っているの?
そこでサムズアップするのやめてもらえますか。
「いや~、にゃ…ナビさんにさぁ、触手のすばらしさを語ったら気に入られちゃったみたいで・・・・・」
変態なの?通りすがりの優しいお兄さんではない?
やっとハンスから解放されたと思ったのに、もしかして次なる変態が現れてしまったのだろうか。
防犯ブザー持ってたっけ?アイギスのもふもふガードは変態にも有効だろうか。
「まぁ、もともとにゃ…《ナビさんのお気に入り称号》が欲しくてやったんだけどさ~、お気に入り通り越しておもちゃはウケるよね~」
あ、違う、変な人だ。この人は変態ではなく、変な人なんだ。
触手について熱弁するとか危ない人なのかと疑ったけれど、ナビさんに気に入られるために行った犯行だと言う。
ナビさんに気に入られるために触手について熱く語るとか発想がぶっ飛んでいる。
変態とかそういうのではなく、ただただ変な人なのだろう。
「変なおじs——」
高速で不埒なアイギスの口をふさぐ。たとえ事実、変な人だとしても本人に向かって言ってはいけないし、
アイギス(推定年齢:子兎)から見たらおじさんだとしてもその呼び方はまずい。
「ん?」
「な、なんでもないですっ!あっと、この子は仲間のアイギスですっ」
幸い男性にはアイギスの言葉がよく聞こえなかったようだ。追及をごまかすために口をふさいだままのアイギスを男性の前につき出す。
アイギス、魅了だ。もっふもふな毛並みで男性を魅了して先程の発言をなかったことにするのだ。
「お、おう。・・・・え、アイギスって・・・・・・」
男性はアイギスの名前に聞き覚えがあるようだ。めっちゃ堅い盾として有名だもんね。
元ネタを知らなくてもゲームで出てくることもあるだろうし、男性が知っていても不思議ではない。
対するアイギスは男性に興味がない様子で頭を下げることも、耳を動かすこともなく、無反応だ。
アイギスも人見知りなのかもしれない。知らない人に撫でられた時にも凄く嫌そうにしていたし。
仕方がないので定位置に装着して自己紹介を続ける。
「あっちでワンコとモグラ叩きしてるのがバロンです」
「お、おう。いや、モグラ叩きってか・・・・・」
男性は戸惑った様子でわんこが出現する度に猛スピードで駆けつけて熱烈なハグ(衝撃で相手は吹っ飛ぶ)をするバロンを見ている。
バロンはこちらを気にした様子もなく、時々ハイタッチも交えてわんこに挨拶をしている。
バロンが早すぎてわんこなのかウサギなのか正直、白かった気がするなとしか認識できていない。
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