第125話 プ〇キュアで変態で悪魔祓いを生業とするふくらはぎ
私たちの悲痛な願いは虚しくも砕けちり、戦闘は続行されるようだ。
立ち上がった巨人は両手を前につき出した後に、右手を後ろに引き、左手は頭上に掲げる。
掲げた左手で大きく円を描き、肘を曲げ右肩の位置でこぶしを握り、ポーズを決める。
巨人はそのまま両手を軽く広げ、七色に光り輝く。降臨ポーズというのだろうか、神様とかが天啓を与える時のような偉そうなポーズで空中にとどまっている。
その胸元に白く大きなリボンが現れたと思ったら、巨人は胸の前で両腕を交差させる。
交差された両腕に白を基調としたアームカバーが出現する。
甲の部分は猪の目型の青い石で装飾され、端には水色のレースが施された可愛らしいデザインのアームカバーだ。
女の子以外がつけると視界の暴力甚だしい。
というかまさか、メタモルフォーゼ?変身でもするのだろうか。
ボスに第二形態はつきものだが、巨人がメタモルフォーゼするなんて聞いていない。
しかも、なんか変身の仕方がプ〇キュアちっくだし。切実にやめてほしい。色んな意味で。
私の願いとは裏腹に、次いで巨人の元に現れたのはふわふわとした膨らみを有したスカートだ。
こちらもアームカバー同様水色のレースが縁に彩られている。
スカートからのびる野太い足には同系統のデザインでまとめられたレッグウォーマーらしきものが現れ、筋肉質なふくらはぎを隠している。
いっそ太ももも隠せ。
靴の色は白。靴底は水色で清楚さを醸し出だしている。
頭上には手の甲を彩る青い石と同じ石のついた白いリボンが現れ、巨人のぼさぼさ髪を飾っている。
これは、キュ〇ホワイトのコスプレをした大きなおっさんだ。
全力で見なかったことにしたくなるような変質者が目の前で決めポーズをしている。
びしりと指さされたけど私たち闇の力の僕じゃないよ。闇の力の僕じゃないよね?
メタモルフォーゼ中、巨人の身体は七色の光に包まれており、バロンの攻撃も通じなかった。
途中途中に挟まれる妙なためにキレたバロンがどついたけれど、巨人にダメージが入った様子はなかった。
バロンも攻撃は諦めてこちらに近寄ってきたくらいだ。変身中は黙って見ていろということなのだろう。見たくないけど。
変身が終わり、ようやく攻撃ができるようになるかと思ったが、謎の光は未だ消えていない。
決めポーズまでちゃんと見たのだからいい加減開放してほしい。
投げやりに見つめ続ける視線の先で巨人がくるりと後ろを向き、そのまま逆ブリッジを決める。
「――っ!?」
これは伝説のエクソシスト!?悪魔に憑りつかれた少女のポーズ!?
そう言えば巨人の名前はハンスエクセルツィスト。悪魔祓いに関係のありそうな名前だ。
でも、だからと言って、憑りつかれた側の実演をしなくても良いでしょう!?
ヤバイ格好をした巨人がやばい表情で血走った目を向けてくる!?
巨人はその態勢のまま、足に力を入れて――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます