第126話 色んな意味で悪夢!
「きゃあああああああぁぁ!?」
逆ブリッジが、逆ブリッジで迫ってくる!?
色んな意味で悪夢!悪魔に憑りつかれた少女の格好でコスプレした巨大なおっさんが近づいてくる。
しかも、速い。その巨体からは想像もできない速さでかさかさと勢いよく接近してくる。
その姿は悪魔そのもの。白いけど、台所によく出る黒い悪魔にしか見えない!
「ぃいやぁぁああああああああああ!?」
怖い!怖すぎる!あのバロンさえあまりの衝撃に固まってしまっている。
嫌だ。あんなのに衝突されて昇天するのは絶対に嫌だ。
恐怖のあまり、近くで潰れていたアイギスを抱き上げて抱きしめる。あ、もふもふ・・・って、癒されてる場合じゃねぇ!
「ぴぎゃぁあ“あ”ぁぁあああああああああああ“あ”!?」
巨人はもう既にバロンの目前まで迫っている。
バロンが危ない!高速で回転する思考に反して、私の身体はスローモーションのようにゆっくりとしか動かず、私の口は意味のない叫び声しか発してくれない。
巨人の巨体がバロンと重なり、巨人の肢体とは比べ物にならないほど小さな身体が宙を舞う、その様を想像して、瞼が勝手に視覚を遮る。
衝撃音。
車同士どころか列車同士が正面衝突でもしたんじゃないかというくらいの爆音があたりに響く。
バロン!駄目だ。目を開けて。目を瞑っては駄目。私はパーティの回復役。バロンのHPが一でも残っていれば回復させられる。
そんな私が恐怖に怯えて目を閉じてはいけない。無理矢理にこじ開けた眼に映るのは宙を飛ぶ巨人——
お、親方ぁ空から変態がぁ!なん、え、なんで!?巨人が空を飛んでるの!?
天高く舞い上がる巨体に理解が追い付かない。なぜ、バロンと巨人、明らかに重いのは巨人の方だ。
普通、ぶつかって吹き飛ばされるのは体重が軽い方じゃないのか。
空から落ちてくる巨人を呆然と眺めていると、黒い影が巨人に襲い掛かりアッパーカットをきめた。
バロンである。特に傷を負った様子もなく達者な様子だ。良かった。
バロンのアッパーカットにより、またしても吹っ飛ばされた巨人は轟音をとどろかせながら地面を滑っていく。
その際に考慮されなかったスカートがとんでもないことになって、とんでもないものを晒してくれた。あ、白。
今すぐ記憶を消去したくなった私とは異なり、バロンは巨人の醜態を気にすることなく攻撃の手を緩めない。
巨人の顔を往復ビンタで変形させて、整形を試みているようだ。
ナイスです、バロンさん。そのまま何とか美少女顔に押し込めてください。それが無理なら、せめて顔の判別ができないように殴りまくってください。
別におじさんでも少年でも女装したければすれば良いと思うけれど、最低限の身だしなみとして他人から見て見苦しくないように身なりは整えてほしい。
ひらひら甘ロリミニスカートは年をとってから着るものではない。
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