第124話 バロンはライオンではないけどめっちゃ強い
「アイギス、プランBだ。回避優先で行こう」
プランAがどう言った作戦かは知らないけれど、プランBは回避優先で避けられそうにないもののみアイギスが防ぐ作戦だ。今決めた。
アイギスは了承したようでひとつ頷き、モッフモフスキルを解除して小さくなる。
前方を確認すれば、バロンの当て身によって尻餅をついた巨人が小石を飛ばしながら倒れていく。
巨体はすぐには立ち上がらずに地面についた手で大地を抉り、おにぎりのように握られた土をバロンに向かって投げつける。
空を飛ぶ巨大な山が大迫力でこちらに迫ってくる。バロンは軽い身のこなしで山を避け、巨人に追撃を加える。
バロンに避けられた山は轟音を響かせて地面に接着し、周囲に砂ぼこりと小石を飛ばす。
山が当たって生きてる自信はもちろん、小石でも無事ですむ自信もない。
私たちは今、ゴジラvsで巻き込まれた人々の気分を味わっている。
怪獣たちの闘いに巻き込まれたら只ではすまない。命大事に、とにかく逃げなければ。
しかし、ボスフィールドに転送されているようで、あまり遠くには逃げられない。
ボスフィールドには限りがあって、ボスフィールドから脱出するにはパーティメンバー全員がフィールドの端まで到着しなければならない。
メンバーの一人が巨人と闘っている今、私たちに脱出の術はない。
私たちはゴジラ、じゃない、バロンが勝つのを信じて見守ることしかできないのだ。
脳内をとあるアニメのオープニングが駆け巡る。宇宙船でコンサートする奴だ。
バロンはライオンではないけどめっちゃ強い。バロンと闘う巨人もギガンティク強い。
かつてこれ程までにバロンの連撃に耐えられた敵がいただろうか。
バロンの往復びんたによって七転八倒しながらも未だに倒されることなく果敢に立ち向かう巨人は本当に強い。
・・・余波で私たちが死にそうだから早く終わって。
そんな私とアイギスの祈りが通じたのか山飛び大地が揺れる戦闘に変化が見られる。
バロンの当て身に倒れた巨人が蹲り、虹色の光に包まれたのだ。
「やったか!?」
通常、モンスターを倒した際にはモンスターが光の粒子に包まれながら消えていく。
西へ進む道中ではボスモンスターであっても同じような演出であったが、この巨人は特別に異なる演出が用意されているのかもしれない。
なんにせよ、ようやく戦闘が終了し、私たちの身の安全が確保されたのならよかった。
安堵のため息を吐きかけた、その時、蹲っていた巨人が立ち上がった。
!?嘘でしょっ!?まだやるの!?やめたげてよお!私たちはもう満身創痍だよ!
アイギスの目が光を失いかけているのが見えないの!?
「ごめん、ルイーゼ・・・できれば、僕は、ずっと君の騎士でいたいけど・・・・・」
その先の言葉は紡がれることなく、アイギスは地面へと潰れた。
「あ、アイギスーーーっ!!」
私たちの悲痛な願いは虚しくも砕けちり、戦闘は続行されるようだ。
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