第121話 大丈夫だ、問題ない
「?なんだろう?烏かな?」
もしかしたら、この石像の神様?は烏に関係のある神様なのかもしれない。
烏か。烏に迷子防止のご利益はあるだろうか。もしご利益があるのなら、ぜひとも方向音痴兄さんの迷子癖をなおしてほしい。
あ、そうだった。それをお願いするのを忘れてた。今からでも間に合うかな?とりあえず祈っとこう。
祈りを終えて今度こそ石像から離れる。
夜になる前に村なり小屋なり、今日の宿を見つけないとまた狐に出会ってしまう。
まだ狐がお化けなのか幽霊なのか確かめたくない。夜のフィールドで活動するなんて断固拒否だ。
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その後は特に迷うこともなく、無事に宿にたどり着けた。石像のご利益だろうか?
ついでにマイゴスさんじゃないメイゴスさんの方向音痴もなおしてください。
夜が明けて陽も昇った次のログイン日。
この前の花冷えの肌寒さが嘘のように暖かく、風炎でも吹いたかと疑いたくなるような温度差の今日である。
春は三寒四温というし、この寒暖差が何度も続くようならば風邪をひかないように注意しなければ。
このゲームで風邪にかかるかは知らないけれど。
暖かな陽気に促されて鬱金香の花も赤白黄色と童謡のように咲き乱れている。
春風に波打つ緑色の絨毯は白詰草の白と三つ葉の緑で模様を描いている。
あの三つ葉の中に探せば四つ葉もあるのだろうか。幸運のお守りを探してみたい欲求と葛藤しながらも先を進む。
ぐずぐずしている内に日が暮れてしまったら困るのだ。寄り道は安全地帯、退避場所を確保してからにしないとこの前のようにお日様との競争になってしまう。
太陽が地平線に隠れるか私が安全な場所に逃げ込むかどちらが先か競い合うことになってしまう。
この前はバロンの無慈悲な先払いと私の俊足により何とか勝てたけれど、次も滑り込みセーフを決められるとは限らないので道草食ってる暇はない。
誘惑を振り切って歩いている内に草原の草が減っていき、白詰草の姿も見かけなくなった。それはそれで残念。
代わりに地面は殺風景な岩肌を露出し、所どころに沼や湖が見受けられ、遠くには雄大な山々まで展望できるようになっている。
かなり急な環境の変化に戸惑いながら周囲を見渡せば、何処からか地響きが聞こえてくる。
その地響きはこちらへ近づいてきているようで、それと共に地面がどしん、どしん、と一定の間隔で揺れる。
その揺れも、だんだんと大きくなっているようだった。
もしかして、ボスフィールドに入ってしまったのだろうか。
何の心構えもしていないけれど、まぁ、バロンもいるし、きっと大丈夫だ、問題ない。
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