第117話 三食団子に思いを馳せる
そう思ってアイギスに熱視線を送ってみたけれど、私の視線以上に熱そうなオーラに阻まれて届きそうになかった。
・・・アイギスはいつ修羅の国から帰還するのだろう。気が付けばバロンもカーチェイスを再開しているし。
「良い天気だなぁ・・・・」
見上げた青空は薄く筆で描いたような雲が散在して、青いキャンバスに描かれた浮世絵のようだ。
降り注ぐ太陽は暖かく、非常に眠気を誘う。風が強く、少し肌寒いけれど、今日の私は寝不足なので日向ぼっこをするとすぐ眠くなる。
目の前の光景も平和で余計に眠気を誘発してくる。花々が咲き乱れる草原で元気に遊ぶもふもふ達。とても平和だ。
風の音をBGMに夢の国へ旅立ってしまいたい、穏やかな時間だ。
間違っても、風が吹きすさぶ音に混じって動物たちの悲鳴なんて私にはキコエナイナァ。
あー聞コエナイ聞コエナイ。わんこの悲しげな声なんて聞こえないぞー。
「良い天気だなぁ・・・・・」
先程と同じ言葉をもう一度繰り返す。そうして三食団子へと思いを馳せた。
別にお腹が空いているわけではない。ただ目に前で揺れる鬱金香の色合いが三食団子に似ていただけだ。
だからこれは別に現実逃避をしているわけではない。
頭上に広がる美しい色を見て呟く。
「空が青いなぁ・・・・」
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タンタンタンタラタッタッタッタラタッタッタッタラタッタッタッ
春眠暁を覚えず。気が付けば春の陽気に眠気を誘われ記憶が飛んでいる。
まどろみの中でアイギスの呪詛とかわんこの悲鳴とか狐の鳴き声を聞いたような気がするけれど、よく覚えていない。
いい汗かいたぜと言った感じのバロンに呆れた様子で起こされて、やけにすっきりした顔のアイギスに謝罪されながら、私たちは東の大国へ向けて出発した。
太陽はすっかり昇りきっていて頭上から元気に私たちを照らしている。
タンタンタンタラタッタッタッタラタッタッタッタラタッタッタッ
東の大国への道のりは
まとめサイトと言っても「イディ夢」に公式ウィキなどは存在しないため、個人のまとめサイトを幾つか覗いて正確そうなものを探してきた感じだ。
個人のまとめサイトなのでそこで得られる情報も玉石混交で中には絶対にありえないようなことも記されていた。
たとえば、西の砂浜で遊ぶと海の中で眠るヤバい化け物に夢の世界へと引きずり込まれるとか、
ナビのお兄さんの正体は猫であるとか、胃痛国の街中を歩いていると犬の振りした怪物に出くわすとか、信じられない嘘情報ばかりだった。
西の砂浜では私もあさり探しをしたけれど、モンスターに襲われた以外は平和な潮干狩りだったし。
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