第115話 ペットの放し飼いは危険です
「おのれ狐おのれ狐おのれ狐おのれ狐・・・・・・ユルサナイ」
どこからどう見ても状態異常にかかってるよ。いつもの可愛いアイギスの影も形もない。
これが状態異常ではないというのならば、昨日のアイギス危機一髪事件を引き起こした元凶への怒りが大爆発しているとでもいうだろうか。
・・・うん?あり得るな、それ。
昨日の夜からのアイギスは見ていて可哀そうな程バロンに怯えている。
元々、アイギスはバロンに対して恐怖心や恐れを抱いている様子だったが、それがさらに悪化し、昨日の出来事により
その原因を作り出した敵がすぐそばにのうのうと存在しているとしたら、アイギスの怒りが火山のように噴火して、
マグマのように沸々と煮えたぎって元凶へと襲い掛かるのも無理はない。
噛みついた狐に乱れ蹴りを連発しているアイギスへ加持祈禱と精神分析をもう一度ずつ試行してみる。効果は得られない。
加持祈祷も精神分析もきかないのならば、これ以上私にできることはない。アイギスが状態異常をかけられているとしても、
自主的に怒りで我を忘れているとしても時間が経てば元に戻るだろう。
状態異常には効果時間があるし、怒りの感情も長時間持続するものではない。
放っておけば冷静になって攻撃の手を止めると思われる。見た感じ反撃を受けてもアイギスの体力はそこまで減っていない。
回復の必要もなさそうだし、放っておいても問題ないだろう。
私の方も近くにいたウサギたちは先程のアイギスによる警告で散っているため、攻撃されて瀕死になる心配もいらなそうだ。
今までの経験からすると、東の草原で攻撃力がありそうで攻撃性も強いモンスターはウサギだけのようだし、アイギスがいなくても大丈夫だ。
バロンに続いてアイギスも放し飼いにすることを決意し、スキルの確認作業へ戻る。
アイギスの豹変に取り乱して精神分析を取得したため、残りのスキルポイント的に取れるスキルはあと一つである。
何を取るべきだろうか。豹変前のアイギスと話していたように特定のスキルがないと見つけられないモンスターへの対策スキルだろうか。
普段、バロンが放流されている時の索敵はアイギスが担当してくれている。
警戒心の強いことで有名な兎の姿をかたどったモンスターであるアイギスは長い耳で敵の位置を聞き分けているのか索敵が得意なのだ。
もしかしたら、アイギスのスキルの所有の中で「???」となっている不明スキルが索敵に関係するスキルなのかもしれない。
そう思うくらいにアイギスは敵の接近にいち早く気が付き、適時モッフモフなスキルで私を守護してくれている。
しかし、そんなアイギスでも昨日の奇襲を察知できず、さらに敵の術中に嵌まってしまっていた。
ここはひとつ、アイギスが察知できない敵を索敵できるようなスキルを取得して、仲間の苦手分野へのフォローをすべきだろうか。
それとも、索敵系が元々得意なアイギスに任せることにし、アイギスに良さそうなスキルを取ってもらうべきだろうか。
たぶんアイギスの取得可能スキル一覧の中になら適切なスキルが存在するだろう。それがどんな名前のスキルかは想像もつかないけれど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます