第111話 バフも断られそう
超有能で可愛いアイギスは自分のステータス画面をてちてちと叩いていたかと思うと頭突きをして私の目の前まで画面を押し上げてきた。
「これだよ、これ」
私の身体をロッククライミングして私の頭上へと戻ってきたアイギスが鼻先で突きながら一つのスキルを示している。
どうやら、お目当てのスキルは私のスキル候補の中ではなく、アイギスのスキル候補の中にあるようだ。どれどれ、名前は・・・・・「だが断る」?
とっても分かり易いスキル名だ。見るからに敵のスキルの発動を妨害してくれそう。
でも、何故だか私の鼓舞によるバフも断られそうな気がするのだけれど、そのあたりは大丈夫なの?アイギス。
疑念を晴らしてほしくて視線を送ったアイギスは頭上から滑り台して膝の上に移動し、褒めて褒めてと言わんばかりのどや顔でこちらを見上げている。
とりあえず撫でた。
「ぷぅーぷぅー」
アイギスは気持ちよさそうに目を閉じて私の膝を枕に潰れていく。
「すごいよ、アイギス。よく見つけたね」
アイギスの見つけたスキル「だが断る」によって、私たちは自慢の毛皮に火をつけられる心配を軽減できた。
軽減であって解消でないのは、こういった妨害系スキルは成功率が低かったり、成功させるための発動の条件やタイミングが厳しかったりすることが多いからだ。
スキルの詳細が実際に取得して使用してみないと分からない以上、確証を持って言うことはできないが、おそらく百発百中で相手のスキルを妨害することはできないだろう。
よしんば妨害ができたとしても、その場合は攻撃力などが少し下がる程度だと思われる。
しかし、取得スキルを見返してみれば、私は水魔法を持っている。
もし、火系の攻撃を受けてしまった時にはこの水魔法で対抗すればいいか。
水魔法、全く育っていないけれど、というか未だに水球を出すことくらいしかできないけれど、威力の下がった攻撃なら何とかなるかもしれない。
何時かにレベル上げを頑張ろうと決意した水魔法は、その後使用する機会もなくレベルは1のままだ。
使用可能な技も水球という以前使用した容器一杯分の水をだすもののみで、たいした攻撃力もない。
いや、もしかしたら、攻撃力自体が零の可能性もある。モンスター相手に攻撃手段として使ったことがないためよく分からない。
モンスターの攻撃で着火した火を消すことはできたけれど、それ以上の情報がない。
攻撃はバロン一匹で十分なので私が水魔法を特に攻撃目的で使う機会がないのだから仕方がない。
下手にその辺のモンスターに攻撃して標的として認識されても困る。回復役の私はただでさえモンスターに狙われやすいのだ。
モンスターの標的は通常、そのモンスターの一番近くにいるものが優先される。
誰かが攻撃した場合はモンスターを攻撃した者が標的となりやすくなる。それから回復行動を取った者も攻撃される確率が上がる。
ただ、モンスターの攻撃の対象となる条件はこの他にもあるらしい。
しかし、攻略本などが存在しないため、あくまで私の体感による推測で、この条件で正解かどうかは分からない。
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