第110話 ファンブリャー


「これって、どういうスキルなの?」


「んー、わかんない。おもしろそうなスキルだったからどうかなって思っただけ」


アイギスちゃん、自分でもよく分からないスキルを勧めてたの?



こういう時は識別だ。アイギスお勧めのスキルに識別を使用して得た情報によるとファンブリャーはファンブルをしやすくなるスキルらしい。


ファンブルが何かは分からないがこの説明文からしてこのスキルは常時発動型のパッシブスキルのようだ。



ゲームにおいてスキルは大きくパッシブスキルとアクティブスキルに分けられる。


このうちアクティブスキルは能動的なスキルのことで、スキルを己の意思で発動させた時のみ効果を発揮する。


たとえば私の鼓舞スキルは私が誰かに鼓舞をかけようと思った時に発動し、その後一定時間効果を発揮するし、


アイギスのモッフモフやぞもアイギスがスキルを発動しようと思った時に発動し、モッフモフな毛で私を守ってくれるアクティブスキルである。



対して、パッシブスキルは所有者の意思とは関係なく常時発動しているスキルのことである。


そのスキルを持っていることにより、ある特定の事象が起こりにくくなったり、逆に起こりやすくなったり、能力の一部を底上げしたりしてくれるスキルを指す。


状態異常などにかかりにくくする耐性スキルもこのパッシブスキルである。


恒常的にMPやHPを底上げしてくれるMP上昇やHP上昇などのスキルもパッシブスキルに含まれる。


MP上昇やHP上昇などのスキルがこのゲームに存在するのかは私のスキル候補リストに挙がっていないため不明だが。



そんなパッシブスキルであるファンブリャーは取得するとファンブルをしやすくなるらしい。


ファンブルが何か分からないため、ファンブルしやすくなることでどのような利益が得られるのかも不明だが、アイギスお勧めのスキルだし一考の余地はあるかな?


いや、でも、スキルポイントも限られているし、怪しい謎スキルにポイントを割くのはもったいないか。



「今はもっと、敵のスキルの発動を邪魔するようなのがほしいかな~」


「発動を邪魔するの?それなら僕、よさそうなスキルを見つけたよ」



なんと。アイギスは既に私のお目当てのスキルを発見していたらしい。


有能。アイギスさんはできる兎だ。独特の感性で、おもしろスキル探していたわけでも、ネタスキルをお勧めしていたわけでもない。


そう、できる兎アイギスさんは己のスキル候補の中から的確に変な名前のスキルを見つけてきていたわけでもなく、私たちに必要なスキルを探し当ててくれていたのだ。


そうだ、こんなに可愛いアイギスが好んでおかしな名前のスキルを選ぶはずがない。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る