第107話 バロンは天災
私たちのパーティは、まずバロンが操られた時点で詰む。
回復役の私が解除のスキルを持っていたとしてもバロンにスキルを使用する前に全滅する。
現在草原で春の嵐のように吹き荒れているバロンを見てわかりようにバロンの速さは尋常ではない。
しかも、その速さで即死攻撃(即死の効果があるかは不明だが、私たちは当たったら確実に死ぬ)を仕掛けてくるからどうしようもない。
だが、しかし、バロンがそんな簡単に操られるとは思えないのであまり気にしていない。
私にできることと言ったら、せいぜいバロンに操られることがないようお願いしておくことくらいである。
それで、もしバロンが状態異常にかかってしまった時は諦めて死のうと思う。だってどうしようもないし。天災だと思ってあきらめよう。
次に操られたときにパーティ崩壊の危機が高いのは回復役の私ではなく、アイギスだと思う。
バロンには及ばないけれど、アイギスも結構早いのだ。
昨日の強襲だって直前で突然起き上がったアイギスに驚いた私が飛びのいたから助かったのであって、もう一歩でも遅かったら避けられなかっただろう。
あの時は不幸中の幸いだった。私にアイギスの攻撃を避けきる自信はないし、頼りのバロンは近くにいないことが多い。
そこまで考えて、ふと遠くの方でワンコと戯れるバロンへと視線を送った。
バロンとの距離はかなり遠く、ここからでは親指サイズの人形が遊んでいるように見える。
表情までは見えないため、待て待て~と言うキャッキャウフフをしているようにも見えてシ〇バニアファミリーを思い出す。
ちょうど背後に子供の玩具のような風車小屋があるので、余計に。なんて長閑で楽しそうな光景だろうか、としばし眺める。あ、わんこが消えた。
とにかく、今日のように遠くにいるバロンが異変に気が付いて私の傍まで戻ってくるのも待てずに私のHPが溶けそうなので、アイギスにはぜひとも憑依に対して耐性をつけてほしい。
アイギスの攻撃を防いでくれる騎士が近くにいたら、また話は違うのだけれども、私の騎士はアイギスなのでそのアイギスが状態異常に対抗するスキルを取得するのは大賛成である。
保険として私が状態異常を解除するスキルを取れば死角もなくなるだろう。
アイギスのスキル選びは痒い所に手が届くような素晴らしい選び方だ。
感心しながらアイギスの頭を撫でたけれども、アイギスは私の視線を追ってバロンの狩猟現場を目撃してしまったらしく特定の方向を向いて固まってしまっていた。
マナーモードが終わったらフリーズかぁ、アイギスも忙しいね。
さて、気を取り直して私のスキル選びに戻ろうか。
最善はパーティーメンバー全員がすべての状態異常に対する耐性を持っていて、かつ、
もしもかかってしまった時のためにそれを解除できるスキルを回復役が持っていることだが、私の取得可能リストの中に耐性スキルは挙がっていない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます