第108話 生き残ることこそが使命


状態異常耐性スキルは取得しておいた方が安心だが、ないものは仕方がない。


まぁ、そんなに心配しなくても毒などのHPを減らしてくる状態異常ではなく、操り攻撃のようなスキルへの耐性は私にはそこまで必要ではないかもしれない。


私が操られたとしても攻撃手段が貧弱だし、そもそもバロンどころかアイギスにさえ私の攻撃が当たる気がしないので問題ないだろう。


状態異常にも効果時間があるだろうし、私が一人でわたわたしている内にバロンが敵を排除してくれるだろうしね。



なんだかこれだけ聞くと私が役立たずな気がするけれどきっと気のせいだ。


私だってバロンに食べ物を献上したり、櫛梳き係を拝命したり、バロンを崇拝し褒め称える役を全うしている。


そりゃ、戦闘中のバロンに手助けなんて必要ないし、バロン一人で敵を倒してしまえるけれど、私とアイギスは戦闘中生き残ることこそが使命なのだ。


バロンの戦闘の余波で死なないことそれこそが私たちの役目なのである。


そのために私たちはパーティにおいて盾と回復という己の役割を見出し、盾と回復としての役割をこなすために必要なスキルを今探求しているのだ。



そして、そんな私たちが盾と回復として役割をこなすために必要なスキルが状態異常に対抗するスキルなのだが、現状、スキルポイントが足りないためすべての状態異常に対応するのは難しい。


ここは優先順位を決めて様子を見ながら順次必要そうなスキルを取っていくのが良いだろう。



しかし、何から対策するのが良いのかすぐには決められそうにない。


ここは優先順位をつけるためにも一度、思いつく限りの状態異常の種類を挙げてみようか。


まず、状態異常と聞いて思い浮かぶのが定番の毒、それから毒と同じようにHP現象を促す火傷や出血、行動を阻害する系統として麻痺やしびれ、氷結、石化、睡眠もしくは気絶、硬直スタン攻撃もあるだろうか。


意思に反した行動をとってしまう系統としては混乱、催眠、魅了、狂戦士化とか暴走とか狂気なども状態異常として存在し得るだろう。


悲劇を引き起こした操りや憑依もこの系統に分類されるだろうか。


他にも沈黙や忘却、暗闇、幻覚、攻撃力低下、防御力低下、速さ低下など一口に状態異常と言っても思いつくだけで20以上存在し、枚挙にいとまがない。


もちろんすべての状態異常がこのゲームに存在するとは限らないが、存在しないとも言えない。



この中で今優先してほしいのは昨日被害にあった憑依系のスキルだと思うが、しかし、これはおそらく真っ先にアイギスが対抗スキルを提示している。


スキルにもレベルがある以上、耐性スキルを取ったからと言ってすべてを無効にするのは無理だろうが、アイギスも命がかかっているので背水の陣の覚悟でとういか決死の覚悟で抗ってくれるだろう。


その時のアイギスの必死さは朝からの言動で十分想像できる。不可能も可能にしそうな必死さだよ。うん。



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