降り続ける雨
第1話
教室の窓の外には重鈍な分厚い雲が空を占めている。
星祭りが近づいてきたここ数日はずっとこのような天気で、毎年恒例の7月7日は晴れない言い伝えは今年も本当になりそうだ。
星に願いを祈るという行為も雲を挟んでしまうと届くのか不安になってしまう。
星に願い事をするというと1番に思い浮かぶのは流れ星だ。
流れ星が光っている間に願い事を言えたら、その願いは叶うという根も歯もない噂。
信憑性に欠ける言い伝えに理屈を付けるとすれば、人の気持ちというのが関わるだろう。
流れる星を見た瞬間にパッと願い事を言える事は、つねに自分のしたい事を理解している人だ。
願い事に、情熱や信念、心構えを抱き続け、その願いのための行動があって、ようやく願いは叶う。
何かの本にも書かれていそうだが、実際に行動してみるのが大切なのだろう。
その行動が人の気持ちを動かし、魅力に変わり、愛されるようになる。
願いは必ず叶うとは言わない。
それでも、願い事のために行動し続けた日々は決して無駄にならない。
誰に否定されようとも、誰に馬鹿にされようとも、その経験が誰かに愛されるキッカケになる。
鼠色の沈んだ雲を眺め、そんな事に気が付いて、俺は大きくため息を吐いた。
そう考えると、
先輩を想い、同じ高校へ行く決意を固め、そのために受験勉強を頑張っていた。その行動はカリンが願いを叶えるためだ。
カリンの告白は失敗に終わるかもしれない。
それでも変わらない想いにカリンの願いは叶うだろう。
俺が必死に告白を止めようとした理由を見つけたような気がして、俺は自嘲気味に笑いそうになるのを堪えた。
学校の授業中に笑ってしまえば、変人扱いされてしまう。
それでも目の前にある背中は羨ましくて、比べてしまう。そして、やはり憧れてしまうのだ。
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