緋色の部屋

第271話 緋色の部屋1


「なんで俺がこんなところに……」


 現在、俺はゲームショップにいた。そこまでゲームをする人間では元々なかったのだが、俺の家にはゲームをする媒体がいくつもそろっている。それこそ、新しいゲーム機などが発売されるといつの間にか予約されていて、俺が家にいる時にそのゲーム機達は届くのだ。


 全て砂橋の注文だということは分かっているし、砂橋は俺が執筆中でも飯を食いに来る。その時、飯の時以外は暇だからとゲームを俺の家に届けてもらったらしい。


 家でやれと言いたいのはやまやまだが、あいつが自分の家で据え置き型のゲームをやることはないだろう。


 俺が今ゲームショップに来ていたのは砂橋が予約していたゲームの発売日だったからだ。どうやら、前に事件を通して関わったゲーム会社勤務の来島にオススメされたらしい。まさか、発売予定のゲームをオススメされて、砂橋がそれを買うとは思わなかった。


 俺は砂橋から受け取った予約票を店員に渡した。ゲーム代を出してやって、件のゲームソフトを受け取る。そういえば、今はどんなゲームがあるのだろうと俺は店内を回ってみることにした。


 昔はRPGのゲームなどを友人に薦められてやっていたが、勇者だの世界を救うなどという内容のゲームを今になってもやるような気持ちにはなれない。


 ゲームショップは探偵事務所セレストのある通りから南の交差点を西に曲がると見つけることができる。何故、こんなに近い場所にも関わらず砂橋が自分で来なかったのかというと、それは依頼人が探偵事務所を訪ねてくるからだった。


 そうでなくとも、俺がいたから適当に使ってやろうと思ったのだろう。


 俺はしばらくゲームソフトのコーナーを眺めてから、ミステリーゲームと大々的にポップも使い、宣伝されていたゲームを手に取った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る