第15話 エヘッ! 15
「おみっちゃん、あんた、弱くなりな。」
女将さんから突然の提案。
「ええ!? いきなりなんですか!?」
驚くおみっちゃん。
「主人公が弱くて泣き虫で暗くて頼りなくないと、今時の一般大衆にはウケないんだってよ。」
やはり、それがヒット作のゴールデン・ストーリーらしい。
「ええ~。私はケロッと可愛いのがウリなのに。エヘッ!」
いつも明るく笑顔で元気に前向きなエヘ幽霊。
「それでは今の荒んだ世の中の一般大衆の共感は得られないんだよ。」
巨人に母親が食べられる。鬼に家族が皆殺し。妹が鬼に噛まれて吸血鬼化。本当に鬼滅の刃って置き換えだけで新しい中身はなかったな。進撃の巨人は立体機動装置は新しいかった。周りのメディアが便乗しまくって売れただけか。決して漫画の時は売れるような作品ではなかった。どんな手を使ってでも打ち上げる大人って怖い。
「共感なんてクソッくらいだ! 自己満足の道を進みます! エヘッ!」
却下されるエヘ幽霊の意見。
「結局、コネ。若しくは権力を持っている方々が売れると思った作品しか世には出してくれないんだよ。」
まあ、夢も希望もない現実社会。
「といことで、おみっちゃん。弱くなろう。そこから這い上がろう。」
女将さんは信念は曲げない。
「ええー。」
納得のいかないおみっちゃん。
「分かった。時給を上げてやろう。」
妥協する女将さん。
「はい! 弱いキャラクターになります!」
こうして展開と魔界を支配するおみっちゃんは弱体化された。
「怖い! 助けて! お母さん! 殺される! おしっこが漏れる!」
敵が現れたらビビるおみっちゃん。
「でも! 私には夢がある! 私は江戸で歌姫になるんだ! こんな所で諦めていられない!」
勇気を奮い立たせるおみっちゃん。
「たぶん上記の4行を足すだけでアホな編集者は「人間味が出ていいですね。」「弱い人の心が共感を産みますね。」とか言うんだろうな。」
呆れる言い分。
「それが必須になり過ぎて、ヒット作が生まれない現代。」
寂しい時代になりました。
「永遠の弱体化だな。」
女将さんの新しい発想。
「強くなるとインフレして終わってしまうので、永遠に強くならなければいいのだ。」
その通り。
「だから長寿アニメは続いているんだね。」
ドラえもんもアンパンマンたちも基本ステータスは上がらない。
「私も強くはならないで、天界と魔界を支配する様にしましたよ! エヘッ!」
歌を歌っただけのエヘ幽霊。
「それも恐ろしいね・・・・・・。」
戸惑う女将さん。
「私は歌が大好きなんです! 歌は世界を平和にします! 歌は素晴らしいんです! 私はそんな歌姫になりたい! エヘッ!」
ベルサイユのばら風のエヘ幽霊。
「歌で解決・・・・・・戦闘シーンは要らない?」
新しい疑問だ。
「戦闘シーンがないと円盤が売れないぞ。アニメで視聴率が稼げないぞ。責任とれるのか?」
苦情が殺到。
「主人公のおみっちゃんだけ戦闘を禁止にしよう。」
マジ歌だけ。
「でも、これも体現できているよな。」
おみっちゃんは暴力を奮っていない。
「試しにつなげてみよう。エヘッ!」
実験を始めるエヘ幽霊。
「おみっちゃん、この世の中のどこかに、どんな願い事も叶えてくれるお札があるんだって。そのお札の名前が夢札!」
女将さんは新商品のドリーム・ビルを説明する。
「探しましょう! 夢札があれば私の夢が叶いますね! 私は歌姫になるんです! エヘッ!」
夢を叶えるためには夢札が必要であった。
「お札を持った魔物がやって来るよ。」
女将さんの占いはよく当たる。
「お札を奪い取りましょう。エヘッ!」
手ぐすねを引いて待っているエヘ幽霊。
「いらっしゃいませ! 美味しい! 美味しい! お茶とお団子ですよ!」
少女は健気に茶店の看板娘をやっている。
「私の名前はおみっちゃん! 私の夢は江戸で歌姫になることです! エヘッ!」
いつも明るく笑顔で元気に前向きなエヘ幽霊の物語である。
「私の名前は海竜リヴァイアサン! 私は魔王になるのだ!」
リヴァイアサンは魔王になりたかった。
「そのためには現職の魔王を倒さなければいけない!」
現在の魔王はおみっちゃん。
「なんでこんな女の子が魔王になっているんだ!?」
おみっちゃんは可愛いエヘ幽霊。
「楽勝だ! 直ぐに人間界に行って魔王を倒してやる!」
おみっちゃんは人間界の茶店にいます。
「待っていろ! 魔王! ワッハッハー!」
リヴァイアサンは茶店に向けて飛び立った。
「おみっちゃん、お客さんだよ。」
女将さんがおみっちゃんを呼ぶ。
「は~い。誰ですか?」
やって来るおみっちゃん。
「見つけたぞ! 魔王! 私は海竜リヴァイアサン! おまえを倒して私が魔王になる!」
現れたのはリヴァイアサンでした。
「怖い! 助けて! お母さん! 殺される! おしっこが漏れる!」
敵が現れたらビビるおみっちゃん。
「でも! 私には夢がある! 私は江戸で歌姫になるんだ! こんな所で夢を諦めていられない!」
勇気を奮い立たせるおみっちゃん。
「私は歌が大好きなんです! 歌は世界を平和にします! 歌は素晴らしいんです! 私はそんな歌姫になりたい! エヘッ!」
ベルサイユのばら風のエヘ幽霊。
「しょうがありませんね。少し遊んであげますか。表に出ろ。」
おみっちゃんは茶店の外に出る。
「サボった分は給料から引くからね。」
守銭奴な女将さん。
「そんな!?」
悲しむおみっちゃん。
「死ね! 魔王! リヴァイアサン・ウォーター!」
リヴァイアサンは口から水を吐く。
「ギャアアアアアアー!」
おみっちゃんはやられた。
「これで俺が今日から魔王だ!ワッハッハー!」
喜ぶリヴァイアサン。
「それはどうかな? エヘッ!」
やられたはずのエヘ幽霊が現れる。
「何!? 確かに倒したはず!? なぜ生きている!?」
驚くリヴァイアサン。
「いいえ。私は既に死んでいる。実は私は幽霊なのです! エヘッ!」
いつも明るく笑顔で元気に前向きなエヘ幽霊。
「幽霊だと!? そんなことがあるのか!?」
驚くリヴァイアサン。
「私が魔王と知っていて戦いを挑んでくるとは愚かな。おまえから邪気を奪い取ってやろう!」
おみっちゃんは歌を歌う気である。
「1番! おみっちゃん歌います! 曲は海竜の三枚おろし! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」
おみっちゃんは極度の音痴でゴットボイスの持ち主であった。
「ウワアアアアアー!? 体から邪気が取り除かれる!?」
リヴァイアサンはおみっちゃんの歌を聞いて苦しむ。
「ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」
更におみっちゃんは気持ち良く歌を歌い続ける。
「最強の私が負けるのか!? ギャアアアアアアー!?」
リヴァイアサンの体から魔界の邪気が取り除かれた。
「ご清聴ありがとうございました! ああ~気持ち良かった! エヘッ!」
大好きな歌を歌い終えてご満悦のエヘ幽霊。
「ここはどこ? 私はだあれ?」
リヴァイアサンは良い子になった。
「リヴァイ。お茶とお団子を食べたくない?」
おみっちゃんの悪魔の囁き。
「食べたい!」
リヴァイアサンは餌に食いついた。
「じゃあ、一緒に茶店に行きましょうね。エヘッ!」
茶店のアルバイトを掴めたエヘ幽霊であった。
「そうだ。あなたの持っているお札を見せて。」
おみっちゃんはリヴァイアサンのお札を見せてもらう。
「なんだ。ただのお札か。チッ。」
なかなか夢が叶わないおみっちゃんであった。
つづく。
「よく分からないが、完璧。」
最初からではないのでぎこちないけど。
「なんだろう? この虚無感は。」
新しい道具だろうが、新しいキャラクターだろうが、出しても出しても同じことの繰り返しでは虚無感しかない。まあ、既存のヒット作の作品も同じことの繰り返しの内容なのだが。
「それでも続けていく勇気なのか? それとも茶店のディーバを終わる時なのか?」
毀滅もキリの良い所で4年で終わったしね。ダラダラやってドラゴンボールやワンピースの様につまらなくなっても仕方がない。
「永遠に話を続ける原本の書き方は完璧。」
やってみると置き換えで文字数も稼げて、かなり上手で自画自賛。
「こう初めて、こう終わるの10万字作品をタイトルを変えて書き続ければいいのか?」
分からん時は既存の作品にリスペクトで乗っかった方が楽だ。
「設定とタイトルだけ違えば、新しいオリジナル作品なのだから。」
私はフランスの女王なのだから風。
「10時のおやつにして休憩しよう。その間に何をやるか思いつくだろう。エヘッ!」
気楽なエヘ幽霊。
「一兵卒の勇気。」
茶店の歌姫と世界観が変わってしまうな。一度、茶店の歌姫に置き換えてみよう。
「アホな隊長を女将さん。臆病な兵士をおみっちゃん。」
現状でできなくはない。
「隊長は手柄を立てて国の英雄になる。女将さんは茶店の支店を増やしていく。」
似て非なる。
「おみっちゃんは歌を歌う。兵士は・・・・・・どうしよう?」
でも、そう考えると今の茶店の歌姫でも形はできているのか。素晴らしい。
「兵士は魔剣でも手に入れて、二重人格で敵を倒す。」
手柄は全て隊長のもの。
「完璧。」
作っている作者が同じだからな。エヘッ!
「となると茶店の歌姫も一兵卒の勇気も設定とタイトルを変えただけで同じ内容の繰り返しだからな。」
後は続けるか、やめるかだけ。
「なんか嫌な予感しかしないな。エヘッ!」
災難が待ち甘えているエヘ幽霊。
「そもそもおみっちゃんが歌姫になる日は来るのか?」
素朴な疑問。
「例えると名探偵コナンは黒の組織を倒して大人になる日が来るのか? ワンピースのルフィーが海賊王になる日が来るのか?」
来たら終わりなのだが。
「ということで終わっては困るので女将さんに邪魔されて、永遠に歌姫にはなれない。だからワンピースやコナンの様に20年以上続く作品になるのです! エヘッ!」
完璧なエヘ幽霊。
「でも、ワンピースにもコナンにも飽きてますけどね。エヘッ!」
飽きる=見ても見なくても良い作品である。
「せっかくだ。一兵卒の勇気風に茶店の歌姫を書いてみよう。」
他は北斗の拳風茶店の歌姫、ワンピース風茶店の歌姫、ドラゴンボール風茶店の歌姫とかでいいのだろう。
つづく。
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