第12話 エヘッ! 12

「やって来ました! 五反の田!」

 おみっちゃんたちは五反の田にやって来た。

「いらっしゃいませ! 美味しい! 美味しい! お茶とお団子ですよ!」

 おみっちゃんは茶店で看板娘として元気に働いている。

「私の名前はおみっちゃん! 私の夢は江戸で歌姫になることです! エヘッ!」

 いつも明るく笑顔で元気に前向きなエヘ幽霊の物語。


「働かざる者! 食うべからず!」

 茶店のオーナーの守銭奴の女将さん。

「ガッキ―! しっかり皿を洗うんだよ!」

「はい! 女将さん!」

 おみっちゃんの連れてきた新しいアルバイトのガッキ―。

「これだけ見ていると新垣結衣が働いている茶店の様ですね。」

 アルバイトの先輩としての自覚がないエヘ幽霊。

「ガッキ―はガッキ―でも、餓鬼だけどね。」

 ニックネーム、ガッキ―の正体は妖怪の餓鬼であった。

「そんなことよりも物語の先を考えるよ。」

「は~い。」

 茶店で作戦会議を始める。

「まず、おみっちゃんは江戸に行って歌姫になるために、江戸に向かわなければいけない。」

 歌は既にデスボイスなので問題なし。

「江戸に到着しそうになったら私は邪魔してどこか遠くに追いやる。」

 これで物語は終わらないエンドレスストーリー。

「女将さんの夢って何だろう?」

 おみっちゃんの素朴な疑問。

「世の中! 銭が全てだ! イヒッ!」

 女将さんはお金が大好き。

「どう見ても女将さんはお金持ちになることだね。」

「そうだね。」

 満場一致。

「じゃあ、ガッキ―の夢はなに?」

 おみっちゃんの素朴な疑問。

「お腹いっぱいご飯を食べること! ガキッ!」

 ガッキ―の夢もできた。

「でもなんか3人の夢だと漠然としているね。」

 女将さんは納得がいかない。

「やっぱり、ここは主人公であるおみっちゃんの夢に仲間が乗るという形の方がいいのかな?」

 ガッキ―には分からない。

「私は手に入れた領地全てに茶店を出店して銭儲けだね。イヒッ!」

 ということで領地を広げて茶店の新店を出店するということは店長がいる。

「私、茶店の店長をやらしてもらえるんですか! やったー! 嬉しい!」

 これで食べていけると大喜びのガッキ―。

「ということは多店舗展開するためには仲間を集めないといけませんね。」

 ガチャか戦って捕獲するか。

「茶店が儲かると給料が増えて、私はお腹っぱいご飯が食べられるのだ。ウヒッ!」

 これで女将さんとガッキ―の夢はつながった。

「私は江戸への生き方が分からないので女将さんの茶店を手伝いながら江戸に向かっているんです。食費と旅費つきでお得ですよ。エヘッ!」

 実際にはタダ働きさせられているだけのエヘ幽霊。

「できた! 見事な相関関係だよ! イヒッ!」

 最終的に女将さんの一人勝ち。

「茶店をドンドン出展させて世界征服だ! 銭の匂いがするよ! イヒッ!」

 絶好調の女将さん。

「さあ! 新しい店長候補を見つけに行くよ!」

「おお!」

 お茶とお団子の茶店は見事な経営ゲームになった。


「水・・・・・・水をくれ・・・・・・。」

 少女は喉が渇いていた。もう何日も水を飲んでいない。

「あ、水だ・・・・・・わ~い・・・・・・。」

 川を見つけた少女は川に飛び込んだ。

チーン!

 そして幸せそうに死にました。

「可哀そうに。私の力で生き返らせてあげましょう。ゴットパワー! えい!」

 新しい神ニュー・ゴットの力で少女は生き返りました。

「復活! あれ? 頭の上に何かある? お皿だ!?」

 なんということでしょう。少女は河童に生まれ変わったのです。

「これで水道代は無料だね! アハッ!」

 なんという悲劇的伝説。

「せっかく水を自由自在に使えるようになったんだから、思う存分、水でも飲むか。」

 河童の夢は水不足をなくすことである。


「ありがとうございました! またのお越しをお待ちしております!」

 おみっちゃんは茶店で一生懸命に働いていました。

「おい、聞いたか。村の水が干上がってしまって飲み水に困っているらしいぞ。」

「なんでも妖怪が現れたらしいぞ。」

 茶店のお客さんは貴重な情報源である。

ピキーン!

 その言葉におみっちゃんは反応する。

「女将さん! 新しい支店長をスカウトしてきます!」

 おみっちゃん水が干上がった村に行くことにした。

「いってらっしゃい。サボった分は給料から天引きだからね。」

 容赦ない経営者の女将さん。

「水を操る妖怪か。皿洗いが楽になるな。アハッ!」

 ガッキ―は能天気だった。


「水持って来い! 水!」

 河童は水を飲んで楽しそうに飲んでいた。

「はい。水です。」

 そこ現れたおみっちゃんが酒を渡す。

「ありがとう! ごくごく! プハー! 上手いな! 水は!」

 河童は水と思って飲んだ。

「あれ? 目が回る? どうしてだろう?」

 しかし河童は酔っぱらった。

「それはさっきの水がお酒だったからですよ。エヘッ!」

 可愛く笑えば何でも許されると思っているエヘ幽霊。

「お酒!? 謀ったな!? おまえは何者だ!?」

 河童は尋ねてみた。

「私の名前はおみっちゃん! 私の夢は江戸で歌姫になることです! エヘッ!」

 いつも明るく笑顔で元気に前向きなエヘ幽霊。

「おみっちゃん!? まさか!? 天界と魔界を壊滅させたという日本四大妖怪の茶店の歌姫おみっちゃん!?」

 いつの間にか有名になったおみっちゃん。

「おお! いつの間に私も有名になったもんだね。エヘッ!」

 有名になって少し嬉しいエヘ幽霊。

「河童さん! あなたの性で村の人々が水が飲めなくて困っている! 水を独り占めしないで、村人たちにも水を飲ませてあげなさい!」

 天界を滅ぼして正義に目覚めたおみっちゃん。

「嫌なこった! 水は私のものだ! 河童が水を飲んで何が悪い!」

 悪びれる河童。

「死ね! 妖術! 水鉄砲!」

 河童が水を吐き出した。

「ギャアアアアアアー!」

 おみっちゃんに命中。

「見たか。私に歯向かうのが悪いのだ。水は河童のものなのだ。ワッハッハー!」

 勝ち誇る河童。

「ワッハッハー! 違います。水はみんなのものです。エヘッ!」

 そこにおみっちゃんが現れる。

「なに~!? どうしておまえが生きている!? 確かに水鉄砲で殺したはず!?」

 河童は自分の目を疑った。

「私は既に死んでいる。だって幽霊だもん。エヘッ!」

 おみっちゃんの正体はエヘ幽霊だった。

「幽霊だと!? ふざけるな!?」

 憤る河童。

「河童さん! あなたの私利私欲の邪気を私のゴットブレスで打ち消してあげましょう!」

 おみっちゃんは歌を歌う気である。

「くるか!? 茶店の歌姫!?」

 身構える河童。

「1番! おみちゃん歌います! 曲は川の流れの様に! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」

 おみっちゃんは天界を滅ぼし神の声ゴットボイスを手に入れていた。

「ああ! 私の心の中から欲望やサイコパスの気持ちが消えていく!」

 おみっちゃんの歌声は河童の邪気を浄化していく。

「ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」

 更におみっちゃんは気持ち良く歌を歌い続ける。

「みんなと仲良くしたい! みんなと一緒に水が飲みたい! ギャアアアアアアー!」

 河童はおみっちゃんの歌声に呪いから解放された。

「ご清聴ありがとうございました! ああ~気持ち良かった! エヘッ!」

 ご満悦なエヘ幽霊。

「おみっちゃん。ごめんなさい。これからはみんなと仲良くするね。」

 河童は改心した。

「カッピー。それいいのよ。エヘッ!」

 河童の名前をカッピーに決めたエヘ幽霊。

「ねえ、カッピー。美味しいお茶とお団子を食べたくない?」

 おみっちゃんは悪魔の囁きを始める。

「食べたい! お茶も飲んでみたいな!」

 お茶も河童の大好きな水分である。

「じゃあ、一緒に茶店に行きましょう。エヘッ!」

「うん! お茶とお団子が楽しみ!」

 こうしてエヘ幽霊は河童のカッピーを仲間にした。

 つづく。


 おまけ。

「デスボイスで皆殺しより、ゴットボイスで邪気を払い、良い子にする。この方が一般大衆とPTA向けに良い評価が得られそうだ。親が子供に見せても安心な作品になるだろう。」

 ふざけていたのだろう。皆殺しのデスボイス・スタート。やっと正義のヒーローとしての立ち位置に立てたおみっちゃん。

「魔界も天界もデスボイスで神も邪神も皆殺しにしちゃったからな。正に天地創造編だね。エヘッ!」

 多少、茶店の歌姫に違和感を覚えながらも前に進んでいく。

「おみっちゃんを幽霊ではなく、人間にして冒険をさせるか?」

 ダメだ。幽霊オチが使えなくなる。決めゼリフの「私は既に死んでいる。」が言えなくなる。

「人間と妖怪を戦わせるか?」

 退治だ! 今、思いついた。人間が悪いことをする妖怪を退治しに来る。それなら辻褄が合う。エヘッ!

「私、恨まれるようなことはしてませんよ。エヘッ!」

 恨まれるようなことはしていないはずがないエヘ幽霊。知らず知らずのうちに他人の恨みを買うのが人生である。本当に怖い。家から出るのが怖くなるよ。

「人間だけに拘らずに、バハムート、関羽、織田信長、ケンシロウ、ゴジラ、天皇なんでもいいな。」

 敵は。

「助けてください! 村が襲われているんです!」

「分かりました! 私が何とか致しましょう!」

 困っている人を見捨てられないおみっちゃん。

「普通に人間の侍? 法師? 茶店の番頭がいてもいいかもしれない。」

 可能性の広がる茶店の歌姫。

「相手の動機付けが必要だ。魔物は魔王になるために現職の魔王のおみっちゃんを倒しにやって来る。神も天界を支配している現職の神おみっちゃんを倒しにやって来る? 崇拝しにやって来るでもいいかもしれないな。人間は妖怪のおみっちゃんを退治しにやって来るとしておこう。」

 敵ばっかりの四面楚歌なおみっちゃん。

「入り乱れすぎの何でもありだな。」

 ちなみに法師で一番有名なのが三蔵法師らしい。人間の未熟な面の担当だったらしい。

「西遊記の孫悟空?」

 ドラゴンボールの孫悟空。漢字も一緒でパクってもお咎めなし。ということで法師の名前は三蔵法師や一寸法師でもお咎めはないのだろう。そのまま使おう。ドラゴンボールに感謝。

「でもキャラクターを変えただけだとアンパンマンや怪人や怪獣を変えただけの仮面ライダーやウルトラマンと変わらない。」

 それはそれでいいとプロみたいにお金のためだと割り切って、同じことの繰り返し作品でいいのだろう。

「帰れるところを、ちょぴっと変えて続けていくしかない。」

 物語の限界を感じてきた。後は引退するか、妥協して続けるかだけ。

 字余り。

「パターンが決まっているだけ。それで面白い話なら良いのだ。」

 つづく。

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