第10話 エヘッ! 10
「やって来ました! 恵比の寿!」
おみっちゃんは渋い谷の南にやって来た。
「恵比寿は恵比の寿か。単純だね。」
女将さん呆れると感心を半分半分していた。
「さあ! 茶店をドンドン増やしますよ! 目指せ! 天下統一! エヘッ!」
どこか方向性がズレてきたエヘ幽霊。
「あんた、江戸で歌姫になることが夢じゃなかったのかい?」
本質は女将さんが知っている。
「元々は面白い話がなくてつまらないから、面白い話を作ろうという所が減点のはず!?」
その通り。
「私の歌が最強過ぎて、同じことの繰り返しになってしまうので面白くないのか?」
ドラゴンボール的インフレ? それともアンパンマン、仮面ライダー、ウルトラマン的な戦闘カット?
「必殺技がありとか、無限に強くなれるのが悪いんじゃないかい?」
女将さんは良い所に気がついた。
「三国志や信長の野望はステータスの最大が100だから、それ以上のインフレはない。さらに必殺技もない。生身の人間であり、兵力や戦略で戦うと。」
しかし武器の進化は強力な魔法を手に入れたと同じである。ということは現代は魔法ではなく原子爆弾が極大魔法である。
「しかし武力100の呂布や上杉謙信は最強無敵過ぎて、武力99の武将でも絶対に敵わないとい矛盾。」
呂布は武力99の関羽と張飛の二人がかりでも子供の相手をしているみたいだったはず。
「ということは、数字が1でも弱い者は強いモノには勝てない。」
弱肉強食の世知がない世の中である。
「例えてみると、女魔王の茶店の歌姫の私の武力が100。当然、盗賊如きでは私に敵う訳がありません。エヘッ!」
女魔王を手に入れたのは、自分が北斗の拳かるろうに剣心かシティーハンターの主人公になったみたいに強すぎるのだ。
「でも、それだけ最初から強いでも成功した作品があるんなら、最初の弱いから冒険して成功したおみっちゃんは素晴らしいんじゃないかね?」
弱いから成長していく物語。ドラゴンボール、聖闘士星矢、ワンピース、鬼滅の刃とか。
「褒められると照れますな。エヘッ!」
褒められると弱いエヘ幽霊。
「調子に乗るな!」
女将さんもおみっちゃんの相手をするのは大変だ。
「物語に答えはないってことだな。」
シュールな女将さん。
「女魔王の力を封印しよう。」
突拍子もない提案。
「インフレ防止策だよ。これが成功すれば物語を続けられる。」
問題はその方法だ。
「それが成功すれば永遠に物語を続けられる。インフレ系の戦闘モノの永遠の課題だね。」
女将さんは長生きしていても、その課題を解決できたものはいない。みんな終わっていく。
「善行を積んで、その善行のエネルギーを地球に捧げて、おみっちゃんは地球を守っている?」
新しい理論だ。
「構築しなければ。」
頭の中が点だ。
「おみっちゃんの歌があまりにも極度の音痴でデスボイス過ぎて地球がひび割れてきた。」
大地をも切り裂くおみっちゃんのデスボイス。
「私はいったい何者なんですか?」
おみっちゃんの出生の秘密。
「おみっちゃんは人間ではない。おみっちゃんの正体はアダムとエヘだ。」
イブではなく人間を創造したエヘの生まれ変わり。それがおみっちゃんだ。
「マジすか!?」
おみっちゃんは3000年の幽霊から人類誕生から存在している幽霊になった。
「ていうか、それだと幽霊ではなく神ではありませんか!?」
おみっちゃんの正体は神であった。
「なんでも有りですね。」
エヘッ!
「魔界も天界も支配したおみっちゃん。今度は人間界を支配しようとする?」
シンク・ビックな世界観。
「おみっちゃんの力を100とするのか、10とするのか、5とするのか、大中小の3とするのか。」
強さ、ステータスなどの基準がわかりませんな。
「他の作品で考えてみましょう。」
困った時は例えを考えよう。
「北斗の拳のケンシロウは最初から9。最後に奥義の無想転生を会得して10。ということは最初から爽快に雑魚を倒しまくる物語。」
う~ん。これをおみっちゃんに当てはめる。
「女魔王の力を手に入れたおみっちゃんの力は10。ほぼ最強ですな。敵が神でなければ。既に天界の神と邪神を倒し、唯一無二の神であるおみっちゃんは最強無敵だね。」
女将さんもインフレに呆れる。
「私は最強無敵なのだ! エヘッ!」
誰もエヘ幽霊を止めらない。
「女魔王の力を封じ込められておみっちゃんの力は1かな。役に立たないね。イヒッ!」
そこから始めないと面白くないのか?
「現状だと、茶店でアルバイトをしているおみっちゃんに誰かが助けを求めて、それを女魔王化したおみっちゃんが圧倒的な力で敵を倒して終わり。強さだけを求めるとそれ以上はない。」
これ北斗の拳やるろうに剣心と同じ。最強に強いからのスタート。
「それに茶店の歌姫1、2も行ってきたから、おみっちゃんは1の強さから、色々なことを経験して女魔王の10の強さになった。まあ、極度の音痴でデスボイスを歌っていただけですが。」
これドラゴンボールやワンピースと同じ。現代人には鬼滅の刃か。
「なんでしょう? 物語を続ける動機付けですかね?」
例えを出してみよう。
「7つの願い事が叶うボールを集める。海賊王になる。巨人を駆逐する。ユリアを取り戻す。アテナを守る。」
こんなもの。
「私の夢は江戸で歌姫になることです。も立派な行動動機ですよね。旅に出られます。」
で同じことの繰り返しの1話。
「問題は、その飽きている同じことの繰り返しの1話を続けるかどうかじゃないかい?」
女将さんは核心に迫る。
「例えると1話のオチがアンパンチ! ライダーキック! スペシュウム光線! かめはめ波! 北斗百裂拳! ペガサス流星拳! デスボイス! と決まっている同じことの繰り返しの物語を続けていけるかどうかかな?」
違うな。これは30分アニメの本編20分の5分の建前の戦闘シーンでしかない。まあ、実際には本編20分戦闘だけということも多いが・・・・・・。
「つまり戦闘ではない?」
やはり残りの15分のプチストーリーがカギを握る。
「現状の問題点はなんだ? プチストーリーが描けていないということか?」
いや! おみっちゃんは真面目に茶店で働き、善行を積むために困った人の話も聞き、助けるために悪との戦闘シーンを行っている。これに何の問題が?
「一番の問題は書き手が同じことの繰り返しに飽きて自律神経が無くなってしまっていることだろうか。」
字余り。
「助けてください!」
茶店に助けを求める人がやって来た。
「どうしました?」
恵比の寿ガーデンプレイスに化け物が出て人々を襲っています!
「なんだって!?」
これだけ悩む人が場所を恵比の寿という形にするだけでよくOKにしたな。ビックリだ。
「大変だ! 直ぐに人々を助けに行かなくっちゃ!」
おみっちゃんは化け物のいる所に向けて駆けて行く。
「ガオー!」
ビールの化け物が暴れていた。
「キャアアアアアアー! 助けて!」
人々は逃げ回っていた。
「やめろ! 化け物! 私が相手です!」
おみっちゃんが現れる。
「おまえは何者だ!?」
「私の名前はおみっちゃん! 夢は江戸で歌姫になることです! エヘッ!」
自己紹介をするエヘ幽霊。
「知らん! 死ね!」
化け物がおみっちゃんを斬りつけ殺す。
「ギャアアアアアアー! やられた!」
おみっちゃんは殺された。
「邪魔する奴は皆殺しだ! ワッハッハー!」
化け物は調子による。
「エヘエヘエへッ! エヘエヘ星人です!」
しかしおみっちゃんは生きていた。
「バカな!? おまえは確かに殺したはず!?」
死人が行きかえり驚く化け物。
「私は既に死んでいる。だからお前の攻撃で死ぬことはないのだ。ほれほれ。」
おみっちゃんに足は無かった。
「おまえ!? 幽霊だったのか!?」
驚く化け物。
「違いますよ。カワイイ幽霊です。エヘッ!」
いつも明るく笑顔で元気に前向きなエヘ幽霊。
「くらえ! 天界と魔界を支配した私の歌声を!」
おみっちゃんは歌を歌い出す。
「ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」
おみっちゃんは極度の音痴でデスボイスの持ち主だった。
「ギャアアアアアアー! 耳が腐る!」
化け物はおみっちゃんの歌声に苦しむ。
「ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」
更におみっちゃんは気持ち良く歌を歌い続ける。
「ヒデブ!」
「アベシ!」
「ブシャ!」
「ブシュ!」
「ウギャ!」
化け物たちはおみっちゃんの歌声に耐えることができずに体内爆発を起こして粉々に壊れて消えた。
「ご清聴ありがとうございました。ああ~気持ち良かった! エヘッ!」
これが天界と魔界の神々を一掃しえエヘ幽霊の歌声である。
「あれ? 誰もいない。かくれんぼうかな? エヘッ!」
細かいことは気にしないエヘ幽霊。
「私も帰ろっと。お腹が空いたから。エヘッ!」
本当はお腹は空かないエヘ幽霊。
「これだ!」
夜寝て朝起きるとアイデアの神が降臨される。
「おみちゃんは歌を歌って魔界の魔王と天界の神を抹殺したんだ。」
なぜデスボイスから、この発想になるのか不思議だが。
「そのために人間界は良いも悪いも乱れる。」
全て悪いのはおみっちゃん。
「その責任を取るために、おみっちゃんは今日も茶店で働き続ける。」
できた! 完璧なあらすじ! イヒッ!
「私の物語はすごいですね。エヘッ!」
話の膨らみ過ぎにエヘ幽霊もビックリ。
「歌は世界を救うだよ。儲かる銭の香りがするね! イヒッ!」
女将さんはおみっちゃんを金儲けの道具にしか考えていない。
「やっぱり歌姫伝説はあった方がいいね。」
この世から神がいなくなり世界が混沌になった時、どこからか歌姫が現れて世界を救うであろう。これが歌姫伝説である。
「なんか、出来たな。なんとなく。エヘッ!」
長かった。ここまでの道のりと実感するエヘ幽霊。
「本当は昨晩は、同じことの繰り返しの回避のために、新キャラクターや新しいアイテムを毎回登場させて、そのプチストーリーで尺を使って目くらまし的に代々の先輩たちの作品の様に誤魔化して生きようと考えていたんだ。」
アンパンマン先輩は新キャラクター。ドラえもん先輩は新しい道具。それで同じことの繰り返しなんだけど上手く視聴者を騙している? まあ、カラクリに気がついた視聴者は見無くなるけどね。でも安心のクオリティーなので、たまに戻って来て見てくれる。そんな作品。そんな作品だから長く続く国民的アニメなのかもしれない。
「毎回、敵だけを変えるのは仮面ライダー先輩やウルトラマン先輩もやってることだね。」
本当に先輩方は偉いわ。
「そこを目指せ! 茶店の歌姫4!」
既に茶店の歌姫4の製作が決まっているかも?
「神でも魔王でも私が倒す!」
分かりやすいフレーズだな。
「そうだ。後は一般大衆にでも分かりやすい物語にしなくては。」
今時の一般大衆に国語力はない。伏線なんか理解してもらえない。
「構成をどうしよう? 古畑任三郎の様に、その話だけのゲストを先に描いて、エヘ幽霊で要所を締めるの方が容易かもしれない。」
ゲームやアニメしか見れないような人間にも理解しやすくしなければ。
「おみっちゃんの強さは10として、ゲスト・キャラクターをメインに描いて、おみっちゃんは茶店で働くシーンとデスボイスで敵を倒すシーンだけでいいか。」
となると毎回のゲストキャラクターを濃密に描かなければいけない。でも、それはそれでいいかも。
「とりあえずそれで行ってみますか。エヘッ!」
いつも明るく笑顔で元気に前向きなエヘ幽霊。
つづく。
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