第四章 時を越えて
第35話 今だ!
結城斗緒哉 side
振られた。分かっていた。
でも、言わないと、前に進めないと思って伝えた。
あんなに正直に言われるなんて想像していなかったけど、それでも良かった。
今は気持ちがスッキリしている。
前に進めそうだ。
教室に入ろうとすると、隣の教室から
「よっ!」
「
「さっき振られた」
「えっ」
1番に伝えるのが筋だよな。
「だからさ!」
時生の背中を思い切り叩いた。
「いてっ!」
「まだ校舎裏にいるはず。早く行け」
俺が引き摺らないために、早くくっつけ。
「俺は」
「つべこべ言うな!男として行ってこい!」
「斗緒哉・・・」
「大丈夫、絶対大丈夫」
親指を立てて、もう一押し。
すると、今まで冴えない顔ばっかりだったのが、キリッと変わった。
「ありがとな」
「おう!」
グータッチして時生の背中を見送った。
※
安藤時生 side
斗緒哉の押しで吹っ切れた。
行くしかない。
息を切らしながら校舎裏に向かって走る。
「あっ!
「
「どこ行くんだ?」
「校舎裏」
「何で?」
「あんずが待ってる」
「「!?」」
「じゃあな!」
2人にも迷惑かけた、すまない。
「頑張れー!」
「頑張れよー!」
「おう!」
いてくれ、間に合え、間に合ってくれ。
※
「うんしょっと」
ようやく力が戻ってきたので立った。
「帰ろう」
私は教室に向かって歩こうとしたその時。
向こうから誰かが来た。
なんだか息を切らしているような。
「まっ、待って、くれ」
「時生君!?」
走って来たのは時生君だった。
「はぁー・・・はぁー・・・」
「だ、大丈夫?」
すんごく疲れてるし汗凄いし。
でも、爽やかだなぁ。
水も滴る良い男、みたいな!キャーッ!
「あんず、今、時間、良いか?」
「うん、大丈夫だけど?」
「なら・・・聞いて、くれ」
「えっ?」
一体、どうしたの!?
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