第33話 解き明かさないと

 家でじっくり考えた結果。

 誰もいない放課後の教室で、私はある人と対面していた。

「夏休み以来だね、あんずちゃん」

「うん、筒美つつみさん」

「いいよ、香南かなで!」

 底抜けの明るさを感じる。

 負けるよ、私。

「それで、聞きたいことって?」

 きた、きたよー!

「あの、その、えー」

 言葉が出ない。言わなきゃならないのに!

「うーん、言いづらいことなら、深呼吸しよう!はい吸って!」

 深く吸う。

「はい吐いて!」

 はぁーと吐く。

「はい、どうしたの?」

 にこにこの筒美さん。

時生ときお君のことどう思ってるの?」

 す、ストレート過ぎたー!

 うぅっ、もうダメ、嫌われる・・・。

「えっ?」

 きょとんとする筒美さん。

「えっ?」

 私、困惑。

 すると「あはははー!」と筒美さんは大笑い。

「あれ?えっ?」

 さらに困惑する私。

「ごっごめんごめん!ぐふっ!ぷっ!あはは!」

 豪快!

「はぁはぁ・・・あー!そういうこと!オッケー!」

 なんか1人で納得してる。

「単刀直入に言うね!」

「は、はい!」

 耳を塞ぎたい!


「私、彼氏いるからご安心を!」


「へっ?」


「それに私に彼氏いるの安藤あんどう君知ってるし!」


 てことは・・・


「私の勘違いいいいいいいー!!!!」



「そうだったんだ!それは勘違いしちゃうねーごめんねー!」

「ううん、私の方こそ勝手に勘違いして・・・」

「いやいや!恋は盲目とも言うんだし、仕方がないね」

 なんて良い人なのー!

「あんずちゃんなら大丈夫だから、安心して安藤君に想いを伝えよう!」

「筒美さん・・・」

「だから、香南!」

「えと、香南、ちゃん」

「よしよし♪」

 勘違いが解けて良かった・・・。

「ねぇ?本好き?」

「うん!」

「なら語ろ語ろ♪」

 その後は2人で本について熱く語ったのであった。



 筒美香南 side


 同い年の子となかなか話題が合わないのが悩みだった。

 本好きの人を同じ学校から探すのは至難の業。

 SNSだと意図も簡単に話し相手なんて見つけられるのに。

 図書室で過ごす事が私は幸せに感じていた。

 ここで彼氏の武田たけだ君を待つ。

 彼も本好きの1人。クラスは同じで、教室では全く話す機会はなかったけど、図書室でばったり会ってから話すようになり、距離も縮んだ。

 そんな私たちを祝福してくれたのが、武田君の友達の安藤君。

 安藤君もまた本好きで、それで2人は仲良くなったとか。

 安藤君はある子の話を度々していた。

「幼馴染みで」「意外とポンコツだったり」などと。

 極め付きは「可愛くなったんだ」と。

 彼はその子のことが好きなんだと確信。

 私と武田君はあの手この手で告白しなさいと、話していたけど、なかなか踏ん切りつかないという。

 困った困ったと思っていた所で、今日、夏休み以来関わることのなかったあの子と話して、君だな!安藤君の好きな人!

 笑いを堪えるのに必死だったけど、最後にその子が本好きと知り、早く知れば良かったと後悔。

 何はともあれ、女の子の本好きさんと友達になれて良かった♪

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