第32話 この状況はなんだ?
「好きです」
「あー!友達として!」
「違う」
逃げられない。
「俺は本気だよ」
彼は真剣な顔をしている。
「返事は後で良いから。んじゃ、俺はここで!」
「あっ、はい。またね」
「うん、また」
私は放心状態でとぼとぼとまた歩き始めた。
※
「一体、どうなってんの?」
真剣に考える。でも纏まらない。
「姉ちゃん、むずい顔してんな」
「ちょっと黙ってて」
自分の部屋に妹は寛いでいる。
かまってらんない。
ピロリン♪
スマホが鳴った。着信確認。
“
深呼吸をしてからメッセージを開いた。
『今日はいきなりごめん』
そうだよ!突然すぎだよ!
いや、知らなきゃ突然か。
『落ち着いたら、返事よろしく』
溜め息を吐く。
今すぐに断りたい。でも、私の気持ちを知った上で伝えた気もする。
このこと、
※
安藤時生 side
「は?」
『あんずちゃんに告白してきた。返事はまだ』
やられた。
『あっそ』
素っ気ない返事をして、スマホの電源を切った。
充電する必要ないが、今はスマホを見たくない。
「ダメだ・・・自信ない・・・」
苦しい、どうしようか。
コンコンッとノックが聞こえた。
「はい」
ガチャッ。入ってきたのは。
「よっ!」
「兄さん」
なんだよ、帰ってたのか。
病気がちから元気になってからは、好きなラグビーを中学からやり始めたお陰で、実業団で活躍するまでになっていた。
「苦虫噛んだ顔してんな」
なんかウザい。
「そうだ、先生元気か?」
「ん?あぁ、元気。たまに兄さんのこと聞いてくるし」
「そかそか!」
兄さんが子供の頃、病院で先生と出会って知っていた。
入学式の写真を見せたら「
聞いてみたら先生も兄さんのことを覚えていた。
「んで、お前は、何に悩んでるんだ?」
兄さん、鋭い。
「困ってるというか迷ってるというか」
なんだか、言いづらい。
「話せ話せ」
「友達が告白したってメッセージきて、相手が俺の好きな人で」
「おぉ・・・恋か・・・」
やっぱり兄さんに相談は的外れか。
「とりあえず、友達を気にするな」
えっ?
「お前がどうしたいかだ、伝えた方が良い」
「兄さん」
「お前も大人になってきたな」
俺の肩をポンッと叩いて、兄さんは部屋から出て行った。
兄さん、ありがとう。
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