第31話 驚いた

 3学期が始まった。

 このクラスとも残り3ヶ月、考えるだけで寂しくなる。

 席替えはくじ引き。運試し。

 結果は、私は窓側の1番後ろ、隣に美夜みやちゃん。

 美夜ちゃんの隣に千夏ちか

 時生ときお君はというと。

「よろしくな」

「うん!」

 私の前でーす!にゃはは♪

 私って持ってる!

「みんな近いな」

「だね」

 やっぱり大好きな時生君と美夜ちゃんが傍にいるなんて幸せだ!



「そろそろ提出しろよー!」

「「「はーい」」」

 先生が言っていたのは進路について。

 私は進学と言っても文系を選択。

 美夜ちゃんは短大、千夏は理系だそうで。

「時生君」

「なんだ?」

「進路どうするの?」

「文系の大学にしたから」

 うひょーっ!同じー!

「本をもっと読みたいからな」

 さすがだよ、時生君!

「あんずは?」

「私も文系の大学」

「ならまた卒業まで同じクラスだな」

「うん!」

 3年間同じクラス・・・幸せ最高潮ー!

「アツアツですなー」

「こら美夜ちゃん!」

「うちわ、どこー?」

「んもう!」

「あはは♪」

 美夜ちゃんは相変わらずです。

「そだ、千夏もちょいちょい」

「なに?」

 美夜ちゃんから珍しい!

「今から紹介するねー」

「「「?」」」

「はーい」

 私と時生君と千夏は、美夜ちゃんのスマホに注目。

 画面にはなんと。

「「「誰」」」

「ふふ~ん♪彼氏ー」


  ・・・・・・・・・


「「「えー!!!???」」」


 いつの間に、美夜ちゃんに春が桜が咲き誇っていた。


「初めまして、隣のクラスの渡辺わたなべはじめです」

「「「はじめまして」」」

 美夜ちゃんの彼氏さんとご対面。

 ひ弱な感じはあるものの、彼女の我が儘になんでもはいはい言う尻に敷かれるタイプな印象。

 いざって時に男らしいと美夜ちゃんを任せられるなー。

「肇君、こう見えて運動神経良い方で、よく助っ人で運動部に呼ばれるの」

 マジか!

「準決勝まではいけるけど、その次に進めなくて」

 いやいや、凄い方だよ!

「夏は寂しかったー」

「まだ言うのそれ?」

「だってー!」

 惚気?

「美夜、いつから付き合ってんの?」

 と千夏。

「ん?文化祭後からだけど」

「出会いは?」

 と時生君。

「受験の日」

「「「は?」」」

「受験の日に隣が肇君で。消ゴム忘れて困ってたら、試験始まる前に貸してくれて」

 それがきっかけだったんだ。

「入学式に肇君を見つけて、そこから徐々に縮めて付き合うことにしたの」

 運命、じゃん!

「消ゴム忘れてなかったら、付き合ってないよ」

「そうだね」

「ねー」

 良いなー。羨ましい!

 すると美夜ちゃんは私にひそひそ話を。

「告白すれば?」

「うっ!?」

「しーっ!」

 怒られた。


「言わなきゃ伝わらないよ、あんず」


 だよね、そう、だよね。

 でも、怖いよ、本当に。



「また一緒にいる」

 今日も時生君は筒美つつみさんと図書室で会話していた。

 私なんて、眼中にないだろうな。

 教室に戻ろうとすると「やっ!」と結城ゆうき君が声をかけてきた。

「どーした?」

 気にかけて、疲れないかな。

「ううん、別に」

「そかそか」

 とりあえず、帰ろうかな。

「あんずちゃん、一緒に帰らない?」

「えっ?」


 結城君と帰ることになり、今下校中。

「進路、もう決めた?」

「まだ。でも進学にしてる」

「俺も進学で理系にしたんだ」

「へぇー」

 千夏と同じ理系か。なるほど。

「あんずちゃんは?」

「私は文系」

「ぽいね、合う」

「ぽいって何それ」

 笑ってしまった。

「うん、笑顔が良い」

「?」

 結城君って突然何か言うなー。

「あんずちゃん」

「はい?」

 なんだ?改まって向き合って。


 それは、突然だった。


「好きです」


 太陽が照らす中、雪がきらきら輝きながら降ってきた。

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