第29話 話せば気持ちが楽になる

 冬休みに入って直ぐ、クリスマスイブに私は千夏ちか美夜みやちゃんと一緒にいた。

 聖夜の日に好きな人といれないなんて・・・。

  ここはショッピングモール。

 その中のイートインスペースにいて、3人で談笑。

「んで、あんず!あんた一体なんなの?!」

 うぇっ!どうした千夏!?

「様子変だし、後夜祭の時になんか言われたのか?」

 美夜ちゃんも私のことを心配して・・・。

「ううん、ただ、好きな人がいるって言ってて」

「「えっ」」

「誰か聞こうとしたら結城ゆうき君来たから、もう良いやってなって、それから全く」

「結城、邪魔したな!」

「なんかそれは嫌だねー」

 2人はそれぞれ言う。

「私、じゃないよきっと・・・当たって砕ける覚悟だよ」

「砕けるな!バカあんず!」

「ぶわっ、バカ!?」

 千夏、私にバカって!!

「多分、大丈夫だって!1番長くいるのはあんず、あなたよ!自信を持って!」

 そうだけど・・・でも・・・。

「悲観的にならないこと!いい?」

 悪い癖ですね、お許しを。

「良い?私から見た安藤あんどう君とあんずは、」

「「は?」」

「両想い!まだ伝えてないから、両片想い!」

「つまりそれって・・・想い想われ、相思相愛!?」

「あっ鼻血!美夜、ティッシュ!」

「へいへーい。あんず、ふきふきしようねー」

 美夜ちゃんに鼻をふきふきされる私。

「本を読んでるなら、免疫つけなさい!」

「私は全体的に捉えて妄想に浸るタイプでして」

「アホかよ!」

 ペシッと千夏に私の頭を叩かれた。

「ぐへっ!痛い!」

「この痛み、忘れるな!」

 厳しいんだから!

「さて、2人とも!カラオケでストレス発散しない?」

「「いいかも!!」」

「よし決まり!」

 私達はカラオケに行き、フリータイムでたくさん歌った。

 ストレス発散、成功です!



 自室でモヤモヤしていた。

「姉ちゃん」

「ん?」

「明日はぼっち?」

「かもね」

「ふーん」

 あずきは自分の部屋より私の部屋で勝手にゴロゴロしている。

 ウザいと思うこともある。

「ちょっとスマホ貸して」

「良いよー」

 私はモヤモヤを勉強にぶつけて集中していて、スマホなんて小さなテーブルに置いていた。

 あずきは私のスマホを手にしていじっているようだ。

 気にすることなく、数学の宿題残り1ページを片付ける。


 30分が経過した。

「終わったー!これで自由だー!」

 うんと伸びをしていると。

「姉ちゃん、見て見て♪」

 ニヤニヤしている。まさか!?

「あずき、時生ときお君になんか送ったな?!」

「テヘッ♪」

 と言って、あずきはそそくさと部屋から出て行った。

 最悪・・・バカあずき!

 早急にあやまらなっ。

「はぁ?!」


『明日空いてる?』

『うん』

『一緒にどうかなと思って』

『良いよ』

『ありがとう!』

『じゃあ時間と待ち合わせ場所決めよう』


 私、クリぼっちは妹の活躍によって回避されるのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る