第27話 関係の行方
後夜祭。盛大なキャンプファイヤーが行われていた。
大きくなく小さくもない、ちょうど良い高さのキャンプファイヤー。
炎がゆらゆらと揺れつつも、しっかりと燃えている。
その周りをダンスをする生徒達。
なんかダンスしなくても、キャンプファイヤー見てれば癒されるなー。
「お疲れあんず」
「
「おめでとうミスいず高!」
「やめてよ!恥ずかしい!」
「堂々と堂々と~♪」
そう、私はミスコンで優勝してしまった。
優勝の副賞は図書カードだったので嬉しかった。
これから暫くは目立つと思うと嫌気が。
「あんず、
「あっ・・・そうなんだ」
「良いの?これで?」
「今日は千夏の大一番、邪魔しちゃいけない」
すると、美夜ちゃんは私の肩をポンポンと叩いた。
泣ける、ありがとう!
※
篠木千夏 side
私は
照明が照らす中、先に待っていると。
「待たせて悪い」
「安藤君」
来た。
対面する私と安藤君。
「それで、何?」
この言葉で、緊張してきた。
ドキドキが止まらない。
目も合わせられない。だから俯く。
「伝えたいことがあって」
絞り出すように声と言葉を出す。
出てこい、自分の気持ち。
「私・・・安藤君が好き」
出た。
「入学式の日からずっと・・・好きです」
伝えきった。息切れがする。
運動していないのに。
安藤君は黙って聞いてくれた。
そして、彼は一呼吸置いて。
「ありがとう」
感謝の言葉が返ってきた。
そして、直ぐにもう一言。
「でも、ごめん」
あっ・・・
「そっ・・・か・・・」
何て言えば正解なの?
「
はっきり言われるとキツい。
「・・・分かった」
明るく明るく。
「自分の気持ちを言えて良かった!ありがとう、聞いてくれて!」
「こちらこそ」
「んじゃね!これからも友達ってことで!」
耐えきれず、その場から去った。
走っていると涙が流れた。
声を出して泣きたい。
キャンプファイヤーがある場所に着くと、あんずと美夜がいた。
「あっ、千夏」
「えっ?泣いてんの?」
2人は私の所に来た。
「千夏?」
心配そうにあんずは私を気遣う。
「あんず・・・美夜・・・うぅっ!」
2人の優しさで涙腺は崩壊した。
美夜は頭を撫でてくれて、あんずは私のことを抱き締めてくれた。
「千夏、頑張った、よく頑張った」
「よしよし、泣け泣け」
「ありがどう、2人ともぉー!」
暫く泣き止むことは出来なかった。
※
平幡八 side
自分の生徒達の様子を遠くから見守っていると、知ってる人を見つけた。
ゲッ、目が合った。
「んお?
「はぁ・・・
「どうもご無沙汰しております」
「
「なぁに?どした?」
「いや、別に」
「思い出しちゃう?昔のこと」
鋭い、なんなんだ。
「あーそうそう!日中、
会ったんかい。
「結美さんを何度見ても、あんたにはもったいない!」
グサッ・・・傷が広がる・・・塩塗られて痛い・・・。
「でも、結美さんで本当に良かった」
「・・・愛さん」
「妹が1番喜んでるよきっと」
だと良いな。
「さて、うちの可愛い娘を呼んで帰らんと!」
「まだ生徒会室にいますから呼びますよ?」
「へぇ~♪」
このニヤリ、不味い。
「男の子と一緒にいるなら~まだ待とうかなぁ~」
「えっ・・・」
誠さん、ショック受けてる。
「まこちゃん、いつか来るよ、男連れてくるのはさ」
「つぐみ・・・パパのこと・・・」
「んもお!しっかりして!」
娘を持つ父親は辛いと思うと、結美のお義父さんもこんなだったのかな。
だとしたら、しっかりしよう。
娘はいくつになっても可愛いと言うらしいからな。
※
中庭にいると聞いて私は向かった。
あっ、本当にいた!
ベンチに座っている。
「失礼します」
「あっ、あんず!?」
驚かれた。声なんか上ずっていた。
「篠木から聞いたか?」
「聞いたよ」
正直に答えた。
「悪かったなと思って」
「どうして?」
「傷つけたし」
「恋って、傷つけられて傷つけてを繰り返して、運命の人を見つけるんじゃないの?」
そう思うけどなぁ。
「あんず・・・」
「それに、“恋”て字には下に“心”てあるけど、下心って意味もあるらしいね。好きだから触れたいとかハグしたいとかキスしたいとかそれ以上も」
「なるほど・・・」
「あと、“恋”て字の“心”の上には“変”て字と同じのがあるじゃん?」
「あるな」
「それにはさ、心の変化とか成長とかの意味があると思うんだよね」
そんな気がする。
「恋の指南か?」
「ううん、恋多き人間じゃないよ私」
「俺には経験値豊富に見える」
「私は今でも一途なんだからね」
「そう、なのか?」
ヤバい、口走り過ぎた。
「時生君は?好きな人・・・」
聞いてしまった。
「いるよ、好きな人」
えっ・・・嘘・・・そんな・・・
「それって・・・だっ・・・」
聞いてみようと思ったら「おーい」と誰かが来た。
「なんだ、
「あれあれ?お邪魔だったか?」
「あほ」
時生君は立ち上がった。
「あんずちゃん、千夏達が呼んでたよ」
「あっ・・・ありがとう!」
私も立ち上がり「時生君、またね!」と言って、走って逃げた。
時生君・・・好きな人・・・いるだ・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます