第24話 この想い 前編

「できたねー!」

 と、美夜みやちゃん。

「うん、できたー!」

 と、私。

「上出来ね!」

 と、千夏ちか

 教室の出し物準備が終わった。あとは文化祭を迎えるだけ。

 その前に、今日は前夜祭。

 今まではなかったけど、湖波こなみ先輩たちが校長先生を説得したおかげで、前夜祭と本編の文化祭と後夜祭をやることになった。

 成功したらまた来年、再来年と継続しても良いということになったらしい。

「今日は学校にお泊まり~♪」

 今日だけ学校にお泊まり可能。届け出したから大丈夫!

「お風呂は近くの銭湯だけど」

 安くて広くて卓球で遊べて、明るいお姉さんと優しいお兄さんがいるから行きたかったー!

「ご飯なんておばちゃんたちが協力してくれるもんね!」

 いつも美味しいご飯を作ってくれる食堂のおばちゃんたちに感謝!

「あー楽しみだねー!」

 前夜祭の夜は各クラスだけで過ごし、後夜祭はキャンプファイヤーをして、その回りで踊る。

 時生ときお君と踊れたら・・・私、直ぐ帰ろうかな。他の男子と踊りたくないもん!

 でも・・・。最近の時生君はおかしい。

 私を避けているというか、話しかけてもパッとしないし、何か嫌なことしたかな?なら、謝らなきゃ!

 はぁ・・・こんなんじゃ気持ち良く楽しく踊れない。

「あっ、あんず?」

「ん?」

「私、後夜祭の時に安藤あんどう君に告白するから」


 ガッシャーン!!!


 心の中にあったガラスが割れた。


「あんず、最後まで聞いて!」

「えっ?」

 あれ?ショックは早かった?

「もし告白が成功したら潔く諦めて」

 気持ちだけは伝えたいですが、諦めます、当たって砕け散ります。

「もし告白が失敗したら私が潔く諦める。そんで、あんずのこと応援する」

 千夏・・・大人になったのね・・・泣ける!

「これで平等ね」

「うん!不公平じゃない、納得した!」

 自然と私と千夏は握手した。

「「健闘を祈る!」」

 自然と同じことも言った。

「友情・・・良いねー♪」

 美夜ちゃん、こんな私たちに付き合ってくれてありがとう!



「あんずちゃん!」

「あっ湖波先輩!」

 先輩が見回りで来ていた。

「いつ見ても可愛い、お持ちかっ!?」

「あほ」

 誰かが湖波先輩の頭を叩いた。

「いたっ!邪魔するなブラックたちばなー!」

 やっぱり、橘先輩でした。

「そうそう!あんずちゃんにお願いがあるのー!」

「えっ?」

 そのお願いは、史上最も断りたいことだった。

 でも、先輩にはお世話になっている。それを思うと断りづらく、承諾してしまった。

「ありがとう!絶対大丈夫、優勝間違いなし!」

「ううっ」

「んじゃ明日~♪」

 ルンルンで湖波先輩は次の教室へ行った。

「ごめんね、どうしてもって言って聞かなくて」

「いえいえ」

 橘先輩、あなたは悪くない。

佐藤さとうさんのクラスからはちゃんとエントリーされているんだけど、湖波がギャァギャァ言って、平幡ひらはた先生が本人に聞けって言って、んで今ってわけ」

「あー・・・」

 目に浮かぶ状況だ。

「当日やっぱり無理ってなったら1時間前に教えて!んじゃ!」

「分かりましたー!ありがとうございまーす!」

 しっかりしてる橘先輩であった。

「なーした?」

「美夜ちゃん・・・ヤバい」

「へっ?」


 明日、どうなるのかな・・・

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