第17話 目的

 読めない、分からない。

 事情があって転校してきたとは言え、この2学期にというのはおかしい。

 かなり怪しい。

「なんなの、あの女」

 溜め息を吐く。

「姉ちゃーん」

「どうぞー」

 あずきが部屋に入ってきた。

「とき君とついに和解おめでとうございます」

「急に気持ち悪い」

「あと、千夏ちかちゃんとも和解」

「和解と言えるのかな」

「とりま、姉ちゃん、嬉しかったっしょ?」

「えっ?」

「とき君、姉ちゃんに気付いていたこと」

「まっまぁ、ふふ♪」

 うっ、心が浮かれた。

 あずきの顔はニヤニヤしている、ムカつく。

「姉ちゃん、今度の問題は?」

「あんたには関係ない」

「えー」

「えーじゃない!」

 全く、首突っ込みたがりめ。

「姉ちゃん姉ちゃん、スマホ貸して」

「なんで?」

「お願い貸して!」

 渋々スマホをあずきに貸した。

「ありがとう!」

 ニコニコしながらスマホをタップし、フリックし出した。

「よし完了、じゃねん♪」

 スマホを受け取り、すぐ画面を見ると。

「あずき、むぅ・・・」


『とき君覚えてる?姉ちゃんがお世話になってます、あずきだよー!

姉ちゃんのことよろしくねー♪』


 勝手に時生ときお君にメッセージするなんて。

 ピロリン♪

 嘘、返事きたし!


『覚えてるよあずきちゃん。了解、任せろ』


 ポクポクポクポク、チーン・・・


「時生、君・・・」


 私はベッドにダイブし、足をバタつかせて、大声は近所迷惑なので、枕に顔を埋めて声を思い切り出した。



 1週間が経過した。

 情報が入らない。

「うーん、諦める?」

「いやいや」

 千夏と美夜みやちゃんは諦めモードに入っていた。

金井かないさんの目的とは一体・・・」

「別れたということと、他の理由と、この学校を選んだのは安藤あんどう君がいるからよね」

「確かに」

 唸るように考える。

 ピロリン♪

 こんな時になんだろう?結城ゆうき君からだ。

「結城君から連絡あり」

「あんず、連絡先交換したの?」

「誘導に従ってしまったら」

「あんた、本当に素直なんだから」

 千夏からのまさかのダメ出し!

「見せて」

「うん」

 メッセージを見てみると。

『情報ゲットしたよ!これは大変だ』

 この文の後、とんでもなかった。

 とんでもを通り越し“ヤバい”である。

「否定しているけど、もし事実なら・・・」

 緊張が走る。

「関わりたくないね」

 美夜ちゃんも冷や汗らしき汗が流れた。

「あんなヤツだったのね」

 難しい顔をする千夏。

「ところであんず、安藤君は?」

「荷物あるから図書室かと・・・ん?」

 教室の違和感を感じとる。

「どうしたのよ?」

 見渡す。あっ・・・。荷物、あるってことは。

「ヤバいかも」

「「?」」

「2人とも来て!」

 3人である場所に向かった。



「さっき安藤君は見かけない女子と一緒に出て行ったわよ」

 司書の先生の言葉に愕然とした。

「ありがとうございます」

 不味い、やられた。

 図書室を出て「時生君探そう」と2人に言って手分けして彼を探した。

 まだ学校にいる結城君にも連絡して協力してもらった。

 すると結城君から『体育館裏にいる』との情報をキャッチ。

 結城君に見張らして、私と千夏と美夜ちゃんはその場所に向かった。

 息を切らして到着。

「まだいる?」

「うん、見ろよ」

 金井さんと一緒にいた時生君。

「話は聞こえた?」

「聞こえなくて分からん」

「この役立たず」

「こら千夏!」

 私たち4人は少し距離を縮めた。

 すると話し声が聞こえるように。

 耳を澄ます。

「元サヤ、考えといて」

 元サヤってことは復縁を迫ってる!?

「・・・」

 無言の時生君。辛そうな表情をしている。

「嫌なのぉ?」

「うん」

「ふーん」

 なんか怪しい雰囲気。

 すると金井さんは時生君に抱き付いた。

「「なっ、んぐぅ!」」

 私の口を美夜ちゃんが、千夏の口を結城君が手で塞いだ。

「静かに!」

「気付かれるぞ!」

 怒られた。シュンです。

「これでもぉ?」

「離れろ」

「やだ」

「頼む離れろ」

「嬉しいでしょ?」

「・・・っ」

 下手に動けない状況に追い込まれる時生君。

「よし」

 すると結城君はいきなり動いた。

 時生君と金井さんの所に近づいた。

「「「!?」」」

 慌てて私たち3人は後退し隠れた。

「時生、探したぞー」

「ふぅ・・・ありがとよ」

 安堵する時生君。

「なんで、邪魔なんだけど」

 不機嫌な金井さん。

「まぁなんだ、離れろ」

「・・・」

 金井さんは時生君から離れた。

「どうして分かったの?」

 ねばっちぃしゃべり方でない。

 好きな男の前だけ甘え口調かい!

「いやいや、時生のことマジで探してたから自力で」

「あっそ」

 コロコロ態度変えやがって!

「今日はもういい。必ず落とす。邪魔な子はみんな排除しないとね」

「は?」

「私のこと舐めないでよね、そこにいるおバカさん」

「「「!?」」」

 バレバレかよー!

「特に、ときの隣の席にいる子」

 私ですか!?

「気に入らない」

 敵視されてるの?!

「じゃっまた明日~♪」

 金井さんは鼻唄を歌いながらどこかへ消えて行った。



「悪い、本当に」

「私は大丈夫だから!」

 苦難を乗り越えた先に、時生君との未来が・・・て、妄想しないしない!

「あんず、敵視されてるのはヤバいよ」

「大丈夫所ではないねー」

 美夜ちゃん、千夏・・・心配してくれるなんて嬉しいよ!

「はぁ・・・守んなきゃならないのが1人増えちゃったじゃない」

 あの、嫌なの?

「めんどー」

 えっ、マジで?

「「うっそー!」」

 泣くからー!!!

「いい?金井さんから攻撃きたら直ぐ教えること!」

「了解!」

 命は大事ですから。

「前の学校で、気に入らないからって・・・」

 美夜ちゃんの言葉の続きはこう。


 酷いいじめ


「学校はなんであんなヤツを受け入れたの?」

「金井は・・・」

 時生君、何か知ってるの?


「生粋のお嬢様だから」


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