第8話 タイミングが良かった

 安藤時生 side


 図書室を出ると佐藤さとうがいて驚いた。

 なんかガタガタ震えてないか?と思ったが、文庫本を差し出され、流れで借りてしまった。

 帰宅して、図書室で借りた本を後回しにして、佐藤から借りた本を先に読んだ。

 うん、面白かった。

 切ない感情が沸いてきたし、それが2度読むとより沁みる。

 もう1度読もうとしたらパサッ。

 何か落ちた。

 拾うとメモだった。何だろう?見ない方がいいやつかな?と思ったが、ローマ字と数字が混じっている。

 見てみた。あぁ、連絡先ね。

 クラスの誰とも連絡先交換なんかしていなかったというか、する気にならなかったが、佐藤だし・・・あんずちゃんだし。

「気持ちくらい受け止めるか」

 俺はあんずちゃんに連絡した。

 時間が遅かったから返ってこないと思いきや返ってきた。

 それからやり取りが始まって、おやすみで終わった。


 小さい頃とは違う。大人になったな。

 あの頃は、グイグイきて引いたから。

 あんなことを言った後、後悔していた。

 だから、再会できて良かった。

 いつか必ず謝ろう。


 今のあんずちゃんとなら、友達になれそうだ。

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