第7話 一方通行に気づく

「姉ちゃんやっぱりバカなの?それ交換じゃなくて、だよ」

「ぐへっ」

 ガビーン・・・私って一体・・・。

「どこら辺に挟めた?」

「プロローグ」

「なら見てるか。待つべしだね」

「もう夜10時、一生来ないよ」

「そうかな?とき君って意外と律儀だから大丈夫だって」

「あんたは時生ときお君の何を知ってんのさ」

「ちっちゃい頃の印象しかないけど、その時のとき君を思い出したらそうかな?って」

「・・・姉は参りました」

「なら待ってなさいな!そのうちピロリンって来るよ!」

 あずきの前向きには助かる。

 でも、時間は遅い。寝ていてもおかしくない。

「はぁ・・・」

 諦めかけたその時だった。


ピロリン♪


 うっうっうっ・・・嘘オオオオ!!!!

「きたよあずき!時生君からかな?!」

「見てみ」

「あずきも一緒に」

「意気地無し」

「だってぇ!」

「はいはい、わーったよ」

「ありがとう!」

 あずきと一緒に私のスマホを見た。

 メッセージアプリからの着信。

 震える指でアプリを開いた。


 “ときお”


「愛しの時生君!」

「ほら見ろ!」

「あずき、明日欲しいお菓子1つ買って帰るから考えといて!」

「良いの?やったー!」

 私は自室に行った。



「本当に時生君だ!」

 名前だけ見て浮かれている。

 メッセージを見ないと!

 またタップした。

「うひょっ」


『貸してくれた本、面白かった。あと連絡先書いてあったメモを見たから連絡してみた』


 素っ気ない・・・そんな所も惹かれる。

 よし返事しよう。アプリならホイホイいけるから!


『連絡ありがとう!嬉しいです!本も面白かったなら良かった!』

 よし!送信!あー送っちゃった!

 すると秒で時生君から返信がきた。早ッ!

『あの本の内容で特に面白かったのは』

 私が貸した本の話題でやり取りが弾む。

 面と向かってはなかなか言葉が出ないのに不思議だ。

 とっても楽しい。永遠に続けば良いのに。

『そろそろ寝る』

『うん、分かった』

『ここでも、学校でもよろしく。おやすみ』

『こちらこそ、よろしく!おやすみ!』


 ・・・だってー!!

 どうしようどうしようどうしよう!!!

 失神レベル、マジでヤバい!


 ますます楽しくなってきた!

 私はベッドに横になりゴロゴロして足をジタバタさせて、喜びを爆発させた。

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