第3話 チャンスがきたと思ったら

 入学式の後、教室に戻ってから自己紹介。

安藤あんどう時生ときお、よろしく」と多くを語らず、でも良い・・・うっとり・・・。

 この時間で、ついに、私のことに気づく瞬間がキタァー!


 自己紹介で名前を聞いて気づく→『あの時のあんずちゃん?可愛くなったね』『うん!』→『これからよろしく』『はい!』

そして、いろいろあって、かーらーのー、『好きだ、付き合おう』『喜んで!』


 ギャァァァァァー!!!!


 妄想とはいえ止まらない!

 興奮してきた!

 いや、待てよ。入学式の時、担任は名前を呼んでいる。

 てことは聞いている→気づいてる!

 だから、改めて聞いて確信に変わって、より一層今後の展開は豊かにー!


 席なんて、と・な・り。


 安藤君は廊下側1列目の最後尾。

 私は隣の列の最後尾。

 ヤバいヤバいヤバいー!!!

 安藤君と私ってやっぱり運命の赤い糸で結ばれているんだー!!!


 でも・・・名簿では安藤君の次は。

 篠木ささき、なんでだよ。

 覆すことの出来ない状況である。

 身長なんて背の順で並ぶと安藤君とアイツは後ろ。私は小さいから前。

 くぅー、悔しいー!牛乳飲んだのにー!

 適度な運動だってしてたのにー!

 足りなかったのは何よ!むぅー!

佐藤さとう、おい佐藤!」

「あぁはいっ!」

「間抜けな顔すんな」

「「「あははは!」」」

 うっ・・・笑われた。

「佐藤あんずです、よろしくお願いします」

 パチパチと拍手。

 チラッと安藤君を見た。

 えっ?ね、寝てる!?

 寝顔、尊い・・・。



「次に学級委員長と席替えについてだが」

 全員の自己紹介が終わり、次のテーマに移った。

「誰か委員長やってくれるやつは・・・」

「はい、是非この私が!」

 美夜みやちゃん!

藤野ふじので良いか?」

「「「はーい」」」

 あっさり決まった。

「そんじゃ後はよろしく」

 担任は後方に下がった。

 美夜ちゃんは教壇に立つ。

「では席替えについてですが・・・」


 ガタンッ


 安藤君、机を蹴ってどうしたの?

 静まり返る教室。


「えーっと、どうしたの?」

 おそるおそる美夜ちゃんは安藤君に話しかけた。

「悪い、席替え、2学期にしてくれないか?」

 どういうこと!?

 ざわつき始めた。

「会ったばっかだし人となりはまだ知らない。だから、1学期はこのまま過ごして、2学期に自由にと思って、駄目か?」

 なんという!素敵!

 まっ私は席替えあると離ればなれの確率が出るから、ここは移動なくこのままがベストなんだよね!

「みんな、良いそれで?」

 すると「意義なし」「言われてみれば納得」「それな」「良いんじゃね」と、反対意見は出なかった。

「てことで、1学期はこのままで」

 同意の意味の拍手で席替えイベントは2学期に持ち越された。

 やったやったー!!まずは7月まで安藤君の隣!

 幸せー!

 自分の席に戻る途中、美夜ちゃんはわたしを見て親指を立ててウィンクした。

 ありがたや~美夜ちゃ~ん!

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