エピローグ
新調したスーツを着て、気合いを入れる。
今日から新しい場所。どんな出会いが待っているかな。
深呼吸をしてから、教室に入った。
教壇に立ち、一通り見渡してから一言。
「今日からこのクラスの担任になった
「「「よろしくお願いします!!!」」」
今日からこの小学校の2年生の担任になった。
そう、君の言いつけ通りに、本当に教師になったのだ。
もう6年目になる。教員採用試験に、一発合格したのが奇跡だなと思いつつ。
いやその前に、大学の教育学部に現役で受かったことから、奇跡の連続なのかもしれない。
小学校の免許の他に中学高校の免許もある。
なんか、網羅してしまった。
他の大学に入学した七滝とは、月1で会ってはいた。
その時に「
あんにゃろおと思ったが、頷いた俺。
そのお陰で、とんでもない時間割となり、死ぬかと思った。
勉強のことを手取り足取り協力していただいたのは、感謝致します。
そうそう、本当に二十歳になったらツインテールを卒業した。
ストレートヘアで大人っぽくだとよ。
イメチェンした彼女を見た七滝は、いつものように可愛い可愛いしか言わないのであった。
目の前で見せられる俺の身にもなれや。
とりあえず、梢は小さい子達と楽しく幼稚園教諭の仕事にやりがいを持てているそうだ。
そして、七滝自身はというと、就活はどこを受けても受かってしまう、腹立つくらいに充実していて、考えに考えた結果、出版社に就職。
身近な雑誌やマイナーな雑誌などを扱う、小さな出版社ではあるが、充実していて楽しいとのこと。
あっ、梢と七滝は25歳の時に結婚、翌年に男の子と女の子の双子が生まれた。
てんやわんやだけど、2人は子育てが楽しいってさ。良かった良かった。
あと、
犬館先輩はそれでも、はいはいって感じで付いていくという。
やれやれ、である。
ん?俺か?何にもない。
本当に静かーに過ごしていたら、何にもなかった。
いたとしても気づいていない。
期待したか?止めとけ止めとけ。
※
休み時間に1年生の教室前を通った時、1人の児童が目に入った。
あの子がつけているのはー・・・
心がざわついた。
衝動的に声をかけてしまった。
「あの・・・」
「?」
首をかしげるその子。
間違っていない、根拠のない自信が突き動かす。
「君の名前は?」
「
うーん・・・あっ。
「お母さんの名前ってもしかして、
「そうだよ!」
「あと、もう1つ良い?」
「うん、良いよ!」
その質問をしたら、確信した。
ウサギのヘアピン、巡り巡って、会いに来てくれたんだな。
「ありがとう、つぐみさん」
「どういたしまして!」
その子は教室に戻って行った。
10年以上の時を経て、ここでまた時が合った。
『良いことあるよ!』
本当だ、君の言う通り。
どこかで見ているかな。
急いで職員室に向かおうとすると。
「八君!」
振り向く。誰もいない。
呼ばれた気がした。
でも、いるよな。
「
おわり
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