記憶

ある日のことを思い出してる

温かい日差しに包まれて

黒と三毛が日のよく当たる塀の上でこんもりと

仲良く並んで眠ってる


たまににゃーにゃー鳴きあって

黒猫が楽しそうに何かをしてるのを

一緒になって遊ぶ三毛猫

そんな風景を思い出してた


もうここ数年見なくなった

庭に転がってる餌皿は土で汚れて

いたたまれなさそうにひっくり返ってる

一昨日のゴミで古い餌は捨てた


何も無かった僕の唯一の楽しみだったのにな

とかそんなことを言ったって仕方ないよな

それは分かっているんだけど

この寂しさは埋められない


そろそろ入るかと縁側から立ち上がって

家の開き戸に手をかけた時

少し後ろで猫が鳴いた

そこに居たのは酷く汚れた三毛猫がいた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る